(C)2009 「釣りキチ三平」製作委員会

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 震災復興でがんばっている東北を応援する「東北・映画で元気に復興」特集。今回は、秋田県が舞台の『釣りキチ三平』をご紹介する。1973年から10年間、「週刊少年マガジン」に連載された矢口高雄原作の人気漫画を映画化。主演の三平役を演じたのは『ALWAYS 三丁目の夕日』で 注目を集めた須賀健太だ。塚本高史が演じる鮎川魚紳が、テキサスのバスフィッシングプロだったり、香椎由宇が演じる愛子が、三平の実の姉だったりと、原作と設定が少し異なるところもある。

『釣りキチ三平』

 天才的な釣りの技術を持つ少年・三平は、釣竿職人である祖父の一平と、秋田で釣り三昧の生活を楽しく送っていた。鮎釣り大会で、アメリカで活躍するプロの釣り師・鮎川魚紳と出会い、その釣りに対する熱はますます高まっていく。そんな時に、東京から三平の姉の愛子が帰郷。三平を無理やり東京に連れ帰ろうとする。一平は「伝説の巨大イワナを釣り上げることができなかったら、三平を連れて行って良い」と約束をする。三平らは、険しい山道をかきわけながら巨大イワナが潜む夜泣谷(よなきだに)へと向かう。

【元気のポイント】大自然の声に耳を傾けよう

 巨大イワナの生息地「夜泣谷」として描かれたのは、由利本荘市鳥海にある「法体の滝(ほったいのたき)」である。秋田県の名勝と天然記念物第1号に指定され、「日本の滝百選」にも選ばれている。山頂に面して落ちる流長100メートル、落差57.4メートル、滝幅3から30メートルの名瀑。映画の中で、都会の生活に疲れた愛子が、この滝の轟音を聞き、滝しぶきを見上げ、自然の緑の力を感じることで、忘れてしまった情熱を思い出す。都会が悪いというわけではないが、自然の持つ大いなる力は私たちにパワーを与えてくれる。本作は釣りを通してそんな自然の様をみせてくれる。なお「法体の滝」の他にも撮影現場は、観光スポットとして紹介されているので、実際に秋田へ足を運んで元気をもらってくるのも良いだろう。

【東北文化】絶品イワナ料理の数々

 秋田県の食べ物というと、まずは「きりたんぽ」や「比内地鶏」を思い浮かべるだろう。だが、今回はあえて映画の中でも出てくるイワナ料理について語ろう。東成瀬村で自治体の魚としているなど、実はイワナは秋田で有名な魚なのである。

<イワナ料理いろいろ>
・『塩焼き』串に刺したイワナを焚き火で焼いてかぶりつく。単純だがうまい。
・『骨酒』焼いたイワナに熱々の日本酒を注いだもの。野趣あふれる。
・『たたき』イワナを薄く切ったものをミュウガ、ネギ・ショウガなどと一緒にポン酢で。
・『唐揚げ』内臓をとって、からりと揚げる。骨まで一緒に豪快に。

 既に終了しているが、映画公開時には「三平定食」といった映画にちなんだイワナ料理を出したところもあったようだ。5、6月から夏にかけて秋田に旅行をするという方は、イワナ料理のお店をチェックしてから行くのも良いだろう。

【まとめ】家族の「絆」を近くにある

 秋田の大自然と一緒に、本作では「家族の絆」についても考えさせられる。漁船の事故で父を失い、さらに続くように母を失ったことで「釣り」を目の敵に思うようになった愛子。亡くなった三平の父、つまり息子との約束のために、ずっと巨大イワナと闘うことを我慢していた一平。釣り好きの父の遺志を受け継いだかのように、毎日魚と格闘する三平。家族を失ったことでずれてしまった歯車が、少しずつ崩壊へと歩みを進ませてしまう。しかし、ある「絆」に気づいたことで、3人はまた仲の良い家族へと戻った。家族と言えども仲違いをしてしまうことがある。だが、もう一度、見つめなおしてみよう。手の届く身近なところに「絆」が落ちている。それが家族なのである。

「東北・映画で元気に復興」特集

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