(C)『friends after 3.11【劇場版】』製作委員会

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 2011年の3月11日に起こった東日本大震災。地震、津波の他にも大きな被害をもたらしたものがある。それは、福島第一原子力発電所の事故である。宮城県仙台市出身の岩井俊二監督が、脱原発を訴え続けた人々を中心に取材を敢行したドキュメンタリー映画『friends after 3.11』が、3月10日に公開される。

 ナビゲーターを務めるのは、震災後、原発問題に関心を抱いたという女優の松田美由紀。インタビューには、「原発のウソ」などの著作で知られる京都大学原子炉実験所助教の小出裕章、内閣府原子力委員会専門委員などを歴任している中部大学の武田邦彦、元東芝・原子炉格納容器設計師の後藤政志、反原発の立場で活動を続けてきた文筆家の田中優、経済金融界では異例とも言える脱原発宣言を掲げた城南信用金庫の理事長・吉原毅、環境エネルギー政策研究所(ISEP)の所長・飯田哲也、福島の子どもたちを守るために粉骨砕身する俳優の山本太郎など、そうそうたるメンバーが登場する。

 この映画は反原発の映画だが、皆さんは原発についてどう考えているだろうか。一番の安全は原発を全て停止することではあるが、複合的な問題がある。現在、日本で稼働中の原発は、東京電力の柏崎刈羽原発6号機と北海道電力の泊原発3号機の2基のみである。事故後、停止する原発が増え、火力発電への依存度が高まった。そのために液化天然ガスの輸入が増え、日本は31年ぶりの貿易赤字に転落した。勿論、貿易赤字の理由は、震災でサプライチェーンが寸断されたことや円高、タイの洪水で輸出が減ったという影響もあるので、それだけではないが、理由の一つとなっていることは確かである。この状況に対して、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーへの転換が叫ばれるが、現状の発電の割合は全体約3パーセントに過ぎない(大規模水力発電をのぞく)。原発を止めるにしても別な問題に関しての対策が必要だ。

 『friends after 3.11』以外にも原発関連の映画は多い。フィンランドに建設中の高レベル放射性廃棄物最終処分所「オンカロ」に密着した『100,000年後の安全』。原発建設に反対する山口県上関町の祝島の住民と、太陽光や風力などによる発電を推進するスウェーデンの取り組みを紹介する『ミツバチの羽音と地球の回転』など。

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 震災からもうすぐ1年。この時期だからこそ、原発関連の映画を観て、その存在の是非について考えてみるのはいかがだろうか。

『friends after 3.11』- 作品情報

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