Windows 8 の新機能「リセット」と「リフレッシュ」解説、設定保持&再インストールを標準提供

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マイクロソフトがWindows 8 (仮) で導入する新機能 " Reset " と " Refresh " の詳細を明らかにしました。リセットとリフレッシュ(和名未確定)は、Windows をよりシンプルで使いやすくするために追加される「元に戻す」機能。リセットはアプリや設定、個人データなどをすべて消去し出荷時に戻すもので、従来のWindows PCではメーカーにより用意されていた場合もあるリカバリに相当します。一方のリフレッシュは、リセットと同様にWindows OSそのものはクリーンインストールしつつ、アカウントや無線接続など重要な設定と個人データ、Metroスタイルアプリをそのまま保持する機能。それぞれの特徴と使いどころをまとめると:

Reset


設定、個人データ、アプリをすべて消去。OSをクリーンインストールし出荷状態に戻す。

メーカーによるリカバリと同様、ドライバなど必要なソフトウェアは含まれる。

使い道は完全にやり直したいとき、PCを人に譲ったりリサイクルに出すときなど。

実行時にデータの消去オプションを選択する。" Thorough " (徹底)ではディスクをランダムなパターンで上書きするため、一般のデータリカバリソフトウェアなどで情報を復元することが困難になる。" Quick " はクイックフォーマットのみで高速。

マイクロソフトが開発者に配ったタブレットPC Developer Machine(Core i5, 4GB RAM, 64GB SSD) を用いたテストでは、 リセットの所要時間は6分12秒(Quick)。Thoroughオプションでは23分52秒。BitLocker のドライブ暗号化を利用している場合、Thoroughでも6分21秒。暗号化メタデータのみを消去するため。

Refresh


主要な設定、個人データ、Metroスタイルアプリを保持したまま、OSを再インストールする。

ユーザーアカウントやWiFi / モバイルネットワーク接続設定、壁紙などは保持されるため、再セットアップから始める必要なくそのままWindowsが使える。そのほか保持されるのはドライブレター設定、BitLocker 暗号化設定など。

復元してしまうと問題を再現しそうな設定はデフォルトに戻る。ファイルの関連付けやディスプレイ設定、Windowsファイヤウォール設定など。なにを残してなにをデフォルトに戻すかは、プレビューのフィードバックを元に現在も検討中。

使い道は従来でいう「大切なデータと設定をバックアップしてクリーンインストール」に近い。ただしデータを外部にバックアップして書き戻す必要がないため高速。

Developer Machine でのリフレッシュ所要時間は8分22秒。

アプリで保持されるのは、マーケットからインストールするMetro styleアプリのみ。従来型のデスクトップアプリはインストーラが提供元によってまちまちで個別に正しく再インストールする方法がないこと、また問題を起こすアプリも復元してしまうことを避けるため。ただし環境の再設定を助けるため、消去したアプリ一覧のHTMLファイルがデスクトップに作成される。

といったところ。またどちらもWindows 8 の標準機能としてアクセスできる点もポイントです。従来のWindows PCではリカバリイメージがメーカーにより提供される 場合とされない場合があり、方法も外部メディアを使ったり隠しパーティションだったり、アクセスするには起動中に特定タイミングで特定のキーを長押しする、メーカーにより異なるメニューを辿るなどバラバラでした。Windows 8 の Reset / Refresh はどのPCでも、設定 - 一般の同じ場所から開始できます。マイクロソフトもMSDNのBlogでたびたび例に挙げているとおり、電話で素人に状況を説明させつつ遠隔サポートをさせられた経験のある人には特にうれしい点です。またシステムがそもそも起動しない場合、Windows 8の標準機能であるWindows RE (Recovery Environment)が別パーティションから立ち上がってグラフィカルなメニューでReset / Refreshなどのオプションを選択できます。
さて、Reset と Refreshは「誰でも簡単に」系の新機能ですが、「Windowsはクリーンインストールと必須アプリの導入・設定を済ませた時点で自前リカバリイメージを作成するのが基本だろ」という上級ユーザーのために、マイクロソフトはコマンドラインの新ツール recimg.exe も用意しています。recimg.exeでは任意の時点でデスクトップアプリを含む完全なイメージを作成することか可能。さらに、システム機能のリフレッシュで復帰する先にrecimg.exeで作成した自前イメージを設定することもできます。recimg.exe はWindows 8 のDeveloper Preview に初期バージョンが同梱済み。製品版に向けて今後も改良が続けられます。