2月15日、Jリーグは理事会において規約42条における「最強チームによる試合参加」(いわゆるベストメンバー規定)の基準緩和を承認した。

 ベストメンバー規定とは、「その時点における最強のチーム(ベストメンバー)をもって臨むこと」「先発メンバーは直前5試合に先発した選手を6人以上含まなければならない」とするJリーグ独自の規定のこと。

 この規定をめぐって、過去に何度もトラブルが起こっている。2007年にはACLの疲労から先発8人を入れ替えた川崎フロンターレが、規定違反はないにもかかわらず当時のJリーグ専務理事である犬飼基昭氏から「サポーターに対する裏切り」と批判された。川崎サポーターはこれに対し、「犬飼さん、我々は裏切られていません」という横断幕を掲示している。

 2008年には、当時J1の大分トリニータが直前のナビスコカップ決勝から先発10人を入れ替えて天皇杯に臨み、当時J2のサガン鳥栖に敗れた。この件に日本サッカー協会の犬飼基昭会長(当時)は、天皇杯は同規定適用範囲外にも関わらず「日本で一番権威のある大会。残念でならない」と主力温存の方針に疑問を呈す。これを受け、2009年には天皇杯にも同規定が適用されることとなった(罰則はなし)。

 今回の変更点の詳細は「Jリーグ規約第42条の補足基準(PDF)」にあり、具体的な変更点は以下のとおり。
●ナビスコカップはベストメンバー規定の適用除外
●ACL(アジアチャンピオンズリーグ)参加チームは、ACLの試合前後5日間は適用除外
●日本代表に同時に3選手以上輩出したクラブは、「直前5試合先発選手」は4人以上で可
●前年および当年に代表チームに選出された選手(候補除く)、プロC契約以外の外国人選手は
 出場実績にかかわらず「直前5試合先発選手」とみなす
●シーズン途中に同一または上位リーグから移籍してきた選手は「直前5試合先発選手」とみなす
 これを受けて、サッカーメディア「Soccer Journal」ではエアロプレインが「少しだけでも改訂されたことは喜ばしいことです。いつかベストメンバー規定がなくなるまでサポーターもクラブも訴えかけていくことが大事なんだと思います」とコメント。ネットにも、概ね規約の無意味さを嘆く声が溢れており、規制緩和には肯定的な声が多い。

■参考リンク

【蹴日報】ベストメンバー規定がついに緩和!|Jリーグスポンサー革命 #apfn - 2011年02月16日

犬飼さん、我々は裏切られていません(Wandering Football)

【トリニータ】「主力温存に疑問」(大分合同新聞)

Jリーグ規約第42条の補足基準(PDF)