■スモールクラブの躍進に沸き立つスペイン



リーガでレバンテが単独首位に立った翌日の10月24日、レバンテのブニョル練習場でトップチームの練習と今季から新しくできたカンテラ(下部組織)寮を視察してきた。レバンテの年間予算は2000万ユーロ(約22億円)。そのうちトップチームの強化費は、650万ユーロ(約7億1500万円)で、サラリーの上限は20万ユーロ(約2200万円)。年間予算が400億円を超え、メッシ、C・ロナウドに10億円以上の年俸を支払うバルセロナ、レアル・マドリードをレバンテのようなスモールクラブが勝ち点で上回ることにスペイン中が沸き立っている。

このレバンテの躍進を影で支えているのが、スポーツ・ディレクターのマノーロ・サルバドール。今季出場機会のある18名の選手のうち、移籍金を支払って獲得した選手はわずか2名でその移籍金の合計は21万ユーロ(約2310万円)。レンタル移籍の選手もコネ(←セビージャ)とシャビ・トーレス(←マラガ)の2人のみで、イボッラはカンテラ出身選手。よって、13人は移籍金ゼロでレバンテが獲得した選手たち。

スカウト網やスカウトの数にも限界があるレバンテだが、サルバドールSDは他クラブで契約切れとなり、尚且つレバンテのサッカーや雰囲気に合う選手を連れてくることに長けている。彼の補強方針は実に明確だ。「23歳前後の若手で1部経験豊富な選手は、大体ビッグクラブが狙っていて高いから初めからリストアップしない。チームの強化費はどれだけ無理をしても700万ユーロであるので、どうしても30歳前後で契約切れの選手と契約することが多くなる。とはいえ、若手を軽視しているわけではなくそこはカンテラ出身の選手で補う」。

■注目が集まるサルバドールSDの仕事



序盤戦の台風の目となっているレバンテだけにサルバドールSDの仕事にも注目が集まっているが、彼は「フロントの仕事、チーム強化というのは1日でできるものではない。今季のチームも9割の選手が昨季もプレーしており、継続性を大切にしている」と説明する。その彼も1997年からレバンテのフロントで働いており、SDとしても長期政権を築いている。2008年にレバンテが破産法の適用申請を提出し、その前後には会長交代や経営陣内での内紛もあったのだが、サルバドールSDのポストだけはアンタッチャブルだった。体制が変わればSDや強化部長のポストも変わるのが普通なのだが、レバンテでは「サルバドール以上のSDはいない」と誰もが認識し、彼の能力に絶大な信頼を置いている。

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■著者プロフィール



小澤 一郎

1977年、京都市生まれ。サッカージャーナリスト。スペイン在住歴5年を経て、2010年3月に帰国。スポナビ、footballista、サッカークリニック、サッカー批評、サッカー小僧、ジュニアサッカーを応援しよう!などで執筆中。
著書に『スペインサッカーの神髄』(サッカー小僧新書)がある。また、「まぐまぐ」より、メルマガ『小澤一郎の「メルマガでしか書けないサッカーの話」』を配信中。

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