テレビドラマや映画などの批評をする、フランスのサイト「Slashers House」では、日本の映画版の「電車男」を紹介している。

 「電車男」は、掲示板サイト「2ちゃんねる」への書き込みが同タイトルで書籍化された。その後、2005年にフジテレビ系列で連続ドラマとして放映され、また映画化も行われた。

 筆者はまず、「オタク」の定義について、フランスと日本での違いを紹介している。フランスでは日本文化のファンをオタクと呼ぶが、日本では一つの趣味に没頭し、家から出ることなく社交性に欠ける人たちを指すと説明。「電車男」の主人公は日本のオタクであると述べている。

 ストーリーは恋愛を進行させるもので、各国のテレビドラマなどでもよくあるような種類だという。しかし、「電車男」は、物語の進行とともに粗暴になりがちな傾向のあるアメリカのドラマと異なり、終始繊細さがみられ、新鮮で感動させられるストーリー展開と絶賛。

 また、主人公であるオタクの青年は、行動を起こさず妄想にふけるというありがちなパターンに陥らず、恋愛を成就させるべく積極的に行動しだす。そして、掲示板サイトで毎日のようにこれからどうしたらよいか、どのような行動をとるべきかなどのアドバイスを求めるが、これに親身になって答えるほかのユーザーの姿も映し出していると説明。

 フランスでも、インターネット上の付き合いはあくまで仮想世界のことだという認識があるが、電車男では、仮想世界である掲示板サイト上でも真の友情が成立していることを示しており、物事のとらえかたも従来とは異なる、オリジナル性の高い作品だと述べている。  俳優や女優の演技力については、フランスでは演劇の養成機関などでしっかり学ぶ役者が多いためか、少々未熟であると厳しい意見を記している。しかし、演技にこめられた感情は本物であり、これが演技力の不足を補っていると評価している。  筆者は同作品について、従来の固定概念を覆す要素が多く、オリジナル性が高い作品と考えているようだ。(編集担当:山下千名美・山口幸治)