中国共産党機関紙「人民日報」はこのほど、一貫して政治改革を呼びかけている温家宝首相や、毛沢東の再評価を求めている李鋭氏、茅于軾氏、辛子陵氏らを暗に批判する論文を掲載した。多維新聞網が伝えた。

 25日付の人民日報に掲載された「中紀聞(中央紀律検査委員会の意)」という署名入りの論文は、胡錦涛総書記がこれまで政治紀律に違反した党員、幹部の処分を厳粛に行い、党の団結を守り、社会の安定と経済社会の発展を推進してきたと強調した。

 続けて、「党の政治紀律を守ることは厳しい政治闘争である。現在、一部の党員、幹部は、党の基本理念や基本路線に関わる重大な政治問題について、あること無いことをしゃべり、中央の決定に表では従いながら裏では背き、政治デマを広めるなどして、党と国家のイメージを損ねている。こうした行為は、許されるものではない」と指摘した。

 さらに、「党内でどのような高い地位にあったとしても、党の政治紀律に背けば、厳しい批判と紀律処分、結果の重大さによっては処罰を与えるべきだ」と警告している。

 去年8月以来、温家宝首相は国内外で度々政治改革を呼びかけ、人民日報の批判を受けている。今年4月にマレーシア、インドネシアを訪問した際にも、政治改革に言及したが、さきの日本訪問では珍しくこの問題に触れず、日本在留の中国人や大使館員の前で涙を流し、手で拭う場面も見られた。これについて海外の政治評論家らは、「温首相の“(政界を)去る決意”の表れ」と分析している。(編集担当:中岡秀雄)



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