トッテナムとのチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦で敗れ、大会からの敗退が決まったミラン。ベスト16でイングランド勢を相手に敗れるのは、これで3大会連続だ。2008年のアーセナルや2010年のマンチェスター・ユナイテッドに敗れるのはあり得ることだろう。だが今回、ミランは調和の乱れた前半と、唯一の守備のミスが決定的となった後半という構図だったファーストレグでのひどい結果の代償を払うこととなった。

試合後のMFクラレンス・セードルフの涙は印象的だった。クオリティーと犠牲が伴ったパフォーマンスをしたのに、トッテナムを相手に敗れ去ったことは、欧州王者に4度輝き、そのうち2度はミランで大会を制している彼にとって不条理なことだったのだ。

だが同時に、ミランは自分たちの弱点も振り返らなければならない。何よりもフィニッシュに苦しんでいることが問題だ。ゴール前でもう少しキレがあれば、まったく違う結果になっていたはずである。ただ、最も残念だったのは、トッテナムMFガレス・ベイルのことだ。ミランは彼の不在を生かせなかった。

いずれにしても、トッテナムはもはやミランにとって苦々しい歴史の1ページでしかない。マッシミリアーノ・アッレグリ監督がトッテナム戦後に言ったように、良いパフォーマンスは今後のリーグ戦に向けてエネルギーを充電させるのに役立つだろう。ミランはこれからバーリ、パレルモ、そしてインテルと対戦する。無傷で乗り切れば、スクデットへの道が開けてくるはずだ。

アドリアーノ・ガッリアーニ代表取締役はこの日、「ミランは良いプレーをした。たくさんのゴールチャンスをつくってね。だが、ボールがゴールに入りたがらなかったんだ」とコメント。次のように続けている。

「とても美しい試合だった。おそらく、トリノでのユヴェントス戦よりもずっと美しい試合だったね。私が悔やんでいるのは一つだけだ。180分間を通じて、(ピーター・)クラウチのゴールを除き、トッテナムの枠内シュートは記憶にないということだよ」

「とにかく、昨日(9日)の試合で、選手たちは好調であることを示した。イタリアのチームがイングランドの地でこういうプレーをするところなど、久しく見ていなかったよ。ほかにベスト8へ進出したチームを考えると、悔しさは残る。おそらく、我々はもっと先へ進めたはずだろう」

だが、リーグ戦では決定的な存在ながら、ヨーロッパの舞台で大一番となると何もできないFWズラタン・イブラヒモビッチは“被告人席”に立たされている。それでも、ガッリアーニ代表取締役は「ゴールだけを考えてはいけない。彼はほかのたくさんのやり方で、チームのために仕事をしている選手だ」と擁護している。