チーム消滅の危機に瀕していた東京ヴェルディが、なんとか持ちこたえた。新しいスポンサーが見つかり、救ってもらったのだ。新スポンサーはゼビオという大型スポーツ用品チェーンを展開している会社で、額は明らかにされていないが、5年契約を結んだという。
ゼビオは福島を本拠地とし、アイスホッケーに力を入れたり、少年サッカーをスポンサードしたりと、スポーツに力を入れている。理解のある会社ということで、東京ヴェルディとJリーグにしてみれば本当にありがたい話だろう。

しかし、問題の根本は何も解決していないことをここで改めて強調しておきたい。5年契約でひとまず落ち着いたが、これはあくまで一時的なものだ。5年経って契約が終わったら、あるいはゼビオの景気が悪くなってスポンサーを降りたら、また元通りになる。日本テレビがゼビオに変わっただけのことなんだよ。TBSと横浜ベイスターズの話とも同じだね。
つまり、企業におんぶに抱っこという体質が変わらない限り、こうした問題は何度でも繰り返されるということだ。

そういう意味では、この5年というのは「安泰」ではなくて、単なる「猶予期間」だ。この5年の間に、ヴェルディがスポンサーに頼らずともやっていけるだけの力をつけなければならない。Jリーグもすべてのクラブにそうした指導をしていくべきだ。スポンサーを見つけてきました、で仕事をした気になってもらっては困る。誰も見つからなければJリーグが救済金を出していたところを、なんとか代わりの財布を見つけたというだけだからね。

大宮アルディージャが観客数を水増ししていたという不祥事も、問題の根っこは同じだと言えるね。これは企業スポーツ体質の、ある種の末路なんだ。
大宮がついた嘘はとんでもないものだが、スポンサーのために見せかけの数字を作らなければいけないほど、Jリーグが追い込まれているという見方もできる。嘘をつかなければ金が集まらない状態だと。もしかしたら他のクラブだってやっているかもしれない。

ゼビオはヴェルディのどこに魅力を感じたか。ヴェルディ、ひいてはJリーグは、胸を張って自分たちのここが魅力だとスポンサーに言えるか。魅力を感じられる部分があれば、大宮のような問題は起きなかったはずだ。観客が少なくても、地域に愛されるクラブとしてしっかり根を張れていれば、支援しようというスポンサーは現れるはずだよ。

ヴェルディだけの問題、大宮だけの不祥事、だからウチは関係ない。というスタンスではなく、Jリーグ全体としての魅力作り、ひいては企業スポーツからの脱却に、本気で取り組むべき時期に来ているんじゃないかな。(了)