W杯開催中のフランスの“内紛劇”の真相については、これまで選手たちのインタビューや関係者のコメントで細切れの情報がもたらされるにとどまり、いまだ全貌が明らかになっていない。肝心のドメネク監督(当時)が何も明らかにしていないせいもある。

 そんな中、パズルの新たなピースとなり得る“新事実”が浮かび上がった。選手たちの練習ボイコット(6月20日)を受けて、ドメネク監督がとった行動についてだ。14日発売のレクスプレス誌が報じた。

 同誌によるとドメネク監督は、練習をボイコットした選手たちの声明文を報道陣の前で代読したあと、ホテルに引き揚げ、サルコジ大統領と電話で話した。情報源は大統領府の“顧問のひとり”だというが、どちらが電話をかけたのか、何を話したのかは明らかにされていない。

 また同じ日、ジブリル・シセをはじめとする数人が監督の部屋を訪れ、選手全員を代表して謝罪を申し入れたとされる。

 同誌は、このときドメネク監督が、2日後の南アフリカ戦(一次リーグ最終戦)を待たずにフランスに帰国することを考え、荷物をまとめていたことを強調した。これは6月29日付のフランス・フットボール誌の報道を裏付けるものとなった。

 ドメネク監督が帰国を思いとどまったのは、この謝罪があったせいなのか、大統領の説得を受けてのことなのかは判然としない。いずれにせよ、今回フランス代表が起こした騒動には、大会途中に監督が帰国するという、さらなる前代未聞の展開が加わる可能性もあったということになる。