先に作ったキャッチコピーを後になってまねされたとして訴訟を起こしている湖南省の鳳凰古城が、絶対にまねされないキャッチコピーづくりに取り組んでいたことが中国新聞網や地元メディアの紅網などによって伝えられた。

 「中国で最も美しい小城」とも呼ばれる鳳凰古城は湖南省の湘西自治州に位置しており、封建時代のたたずまいを今なお色濃く残す国内でも有名な観光地だ。その鳳凰古城が2004年に観光キャンペーンの一環で「この古城はあなたのために1000年待っていました」というキャッチフレーズを作成、CCTV(中央テレビ)など大手メディアを通じて宣伝活動を行ってきた。しかしその3年後に四川省遂寧市が「この街はあなたのために1660年待っていました」というキャッチフレーズを作り、使用していたことが判明した。そこで鳳凰古城は同市に対してキャッチフレーズの使用停止と3年間の損害賠償3億元(約40億円)を求める訴えを裁判所に起こしていた。訴えが受理されれば、観光・文化業史上最高額の係争となる。

 鳳凰古城は裁判の準備を続ける一方で、別の準備も進めていた。すでに「パクられ」たキャッチフレーズでは訴求力に欠けるとして、どこにもまねされない最強のキャッチフレーズづくりに取り組んでいたのである。そして完成したキャッチフレーズが「沈従文の書中に、黄永玉の画中に、宋祖英の歌中に、譚盾の琴中に、羅洗河の棋中に鳳凰の姿あり」といったものだ。この、現地にゆかりのある各分野の著名人を勢ぞろいさせた「これでもか」というような豪華キャッチフレーズは今年の6月から使用開始するという。また、今後3年以内に著名詩人や学者に鳳凰をテーマにした文学作品を制作してもらい、中国の「国粋」と呼ばれる伝統文化をほとんど網羅した鳳凰古城のイメージづくりを目指すという。  オリジナリティの薄さによって「パクられ」た反省を生かし、壮大なキャッチフレーズを生みだした鳳凰古城。多くの地元ネットユーザーからも「優れた創意」「これならほかの場所は真似できまい」と太鼓判を押されているようだが、あとは壮大なキャッチフレーズに負けないくらいの実際の「おもてなし」ができるかどうかが今後の課題となりそうだ。(編集担当:柳川俊之)



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