鳩山首相がついに沖縄入りした。

 昨秋の就任以来、普天間飛行場の国外移設、最低でも県外への移転を模索し続けてきた末の沖縄訪問であった。

 結論から言えば、結果は散々であった。

 国外どころか、県外すら困難であることが判明し、米海兵隊の大部分を同じ沖縄の名護市辺野古周辺のキャンプシュワブへ、残りの一部を徳之島に移すと表明したにすぎなかった。

 もはや多言を要さないだろう。端的にいえば、公約違反である。何らかの形で政治責任を取らざるを得ず、今後、鳩山首相が窮地に立たされたのは疑いない。

 本コラムではこれまで通り、そうした近視眼的な政局を扱うつもりはない。今回の件を通じて、鳩山内閣が内包する国家的な危機を明らかにしようと思う。

 先週来、筆者は「週刊文春」の取材で、沖縄の普天間基地、キャンプシュワブ、辺野古と巡り、さらに徳之島を訪れた。そのいずれの場所でも聞かれた声が、官邸の不誠実な対応への批判である。

 日本の国土面積のわずか0.6%にすぎない沖縄県には、実に在日駐留米軍の75%の基地が集まっている。その負担を少しでも軽減させようというのは、これまでにも過去の自民党政権が模索し、そして失敗に終わってきたことであった。

 その唯一といっていい例外が、橋本首相が米政府との間で発表した普天間飛行場の移設合意であった。



 沖縄東海岸への臨時措置的な基地移設は、日米合意のあった1996年当時では画期的なものであった。SACO(日米特別委員会)では当面の危険除去が急務だとして、5〜7年以内の基地移設も約束された。

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