現存する最古の歌『セイキロスの墓碑銘』(動画)

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紀元前470–460年ころのライヤー(竪琴)の絵。画像はWikimedia Commonsより

音楽おたくと言われる人にはいろいろな種類がある。常軌を逸したレコードの収集家、花開こうとしているシンガーやソングライター、『iPod』の充電と同期がうまくいかないと眠れない人、などなど。ただ、その誰もが、音楽とは単なるエンターテインメント以上のものだと信じている。音楽は原初の力であり、人類と同じくらい古いと言ってもよい。しかしその正確な起源は、いったいいつなのだろうか。

それは答えようがない疑問だが、ひとつの完全な歌として残っている例は、『セイキロスの墓碑銘』として知られる作品だ。古代の墓碑に歌詞と音符が刻まれており、年代は紀元前2世紀から紀元後1世紀ごろとされている。

音楽作品の断片ならば、より古い楔形文字の碑が残っており、セイキロスの墓碑銘から2000年ほど遡るものもある。しかし、完全な形で残っている楽曲としては、セイキロスの歌は最古の部類に入る。

陰鬱な名称で呼ばれているが、歌自体はなかなか人を勇気づける内容だ。翻訳すると次のようになるだろうか。

生きている間は、輝け
何があっても、悲嘆に暮れるな
人生はつかの間であり
時はいつか終わりを求めてくるのだから

[Wikipediaによると、歌詞の他に、墓石には以下のような文言が刻まれている。「わたしは墓石です。セイキロスがここに建てました。決して死ぬことのない、とこしえの思い出の印にと」。

歌詞の上部には、旋律を意味する記号が記されている。ギリシア語フォントでは以下]

[旋律を現代の五線譜で表記したものは以下]


WIRED NEWS 原文(English)


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