W杯予選フェロー諸島戦を3日後に控えるフランス代表が7日、試合が開かれるブルターニュ地方ギャンガンのルードゥルー・スタジアムで公開練習を行なった。

 ギャンガンは人口8000人足らずながら、古くはパパン、最近ではドログバやマルダを輩出したクラブをもつサッカー人気の高い町で、この日も1万人の観客が集まり、決戦前の“レ・ブルー”に声援をおくった。

 その観客や報道陣が見つめる中、練習開始から50分が経過した午後6時半ごろ、思わぬアクシデントが起こりスタジアムに衝撃が走った。レキップ紙などが報じている。

 ピッチの半面で6対6のミニゲームが行なわれていた最中に、FW のバフェティンビ・ゴミス(24)が突然、昏倒したのだった。白目をむいてうつぶせに倒れたゴミスと、異変に気づいて大声で必死にメディカル・スタッフを呼ぶ周りの選手たちのようすをテレビカメラがとらえていた。

 しかしわずか1分後、ゴミスは意識を回復して立ち上がり、バツの悪そうな笑顔を浮かべながら控え室へと引き上げ、周囲を安心させた。その後10分もたたぬうちに、ゴミスは再びピッチに戻り、練習合流を申し出ている。

 試合中や練習中に心停止で倒れる選手の例が後を絶たないだけに、チームメイトやスタッフは慄然となったが、ゴミスが失神するのはこれがはじめてではないという。

 ゴミスが所属するリヨンのピュエル監督などは、「プレシーズンのデポルティーボとの試合中や、デブレツェニ戦(チャンピオンズリーグ)の2日後の練習中にも同じことがあった」と明かし、「もう驚かないよ。5分後にはケロッとしているんだから。彼がディフェンダーじゃなくてよかったよ」と笑うほどだ。

 ゴミスの心肺機能などに異常は見つかっておらず、「迷走神経反射性失神」と診断されている。ピュエル監督が笑うように、心配はいらないようだ。この“失神癖”も、ジネディーヌ・ジダン以来となる代表デビュー戦2ゴールをあげた“未完の大器”の異能ぶりを示すひとつなのかも知れない。