【サムライ通信】日本代表のいつもの空気と感じた

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 2日、タシケント到着後、日本代表は夕方から練習を行なったが、非常に肌寒い気温の中でのトレーニングになったという。しかし、3日は朝から、爽やかな晴天に恵まれ、日中は強い日差しで汗ばむほどの陽気だった。17時からのトレーニングでも、気温は20度を超えていたが、湿度は低くカラッと気持ちのいい夕暮れの中で行なわれた。
 2日はランニングなどのコンディション調整が主体のトレーニングだったが、3日は、DFラインからのカウンター攻撃を想定した形やアーリークロスからのシュート練習、そしてハーフコートでの4対4など、かなりハードなメニューを消化。岡田監督は明日からは負荷を落とし、試合に臨む予定だと話している。
 また、練習中「もっと強く」と言う声が何度かスタッフから飛んでいた。長い芝でも走るボールを蹴ることへの要求なのだろう。

 日本代表の練習場はブニョトコルスタジアムのサブグラウンドで、非公開練習を行なうのが不可能なロケーションだ。たとえ敷地内への出入りをコントロールしても、近隣のマンションのベランダから練習が一望できる。試合前日の会場での公式練習では非公開でのトレーニングが可能かもしれないが、3日、4日の2日間は練習を公開せざるをえない。
「セットプレーや、ちょっと細かいところをつめるという意味では、本当は非公開のほうがいいと思うけれど。昨日、ヤット(遠藤)とケンゴ(中村憲剛)と話し、セットプレー以外の細かいところを想定して煮詰めた。相手は、ボランチのところからつめてきつつ、自分の陣地までこられたら、2枚のDFでがっちり固めてと言う感じだから、そのときにケンゴが消えないようにとか……」と中村(俊)。ウズベキスタンの守備陣の対応をイメージし、様々なシミュレーションを行なっている。
 この日、岡田監督は、「(紅白戦は)やらないと思います。紅白戦はテストをするために行います。今はほとんどわかっているので、やる必要はないと思います。スタメンは固まっています」と明言したが、先の中村(俊)の発言からもベルギー戦で試した形で試合に臨むことが予想される。
 アウェーでの一戦では“気持ち”や“気合”が重要になると話していた中村(俊)は、決戦を前にした練習の雰囲気について「一番は声を出して元気良くやること。そのへんはボンバー(中澤)やトゥ(闘莉王)などがわかっているから。いい雰囲気だし。変にピリピリしても良くない。今日も締めるところは締まっていたと思う」と話した。
 報道陣の前で「チームの雰囲気が悪い」と口にする選手はいない。たとえそう思っていたとしても、報道陣に話したところで何の解決にもならないのだから。話すべき相手はチームメイトでしかない。選手のコメントが全てというわけではない。
 3日の練習の空気は、通常と大きな差はなかった。誰もが自分なりのペースで調整し、コンディションを確認する時間だった。淡々と粛々と2時間弱のトレーニングが終わった。監督が「固めた」と話す試合出場のメンバーが選手たちへ伝えられたかは不明だ。この雰囲気がいいのか悪いのかはわからない。でもこれが、この代表のいつもの空気なのだと感じた。



text by 寺野典子