日頃は「若手を簡単に辞めさせるな」と主張する当連載ですが、今回はちょっと矛盾するような内容です。

 それは、「組織と折り合いをつけることができない若手が辞めたところで自分を責めるな!」というもの。もちろん、“早期離職肯定”へと宗旨替えしたわけではありません。

「辞められて当然」のひどい会社があるように、慰留するのもバカバカしい若手もいます。居座ることが会社のリスクになるような若手のことです。そんな人間に真摯な指導をするよりも、あなたにはもっと大事な仕事があるはずです。

 春4月。今年も新入社員がやってくる季節になりました。早期離職がもっとも多いのは、入社2年目というデータがあります。新人を手厚く育成指導する余裕のない会社でも、1年目は人事も現場も気を遣って接するものです。しかし、4月からはその視線が次の新入社員に注がれることになります。

 そして、右も左もわからなかった新人も1年の経験を重ねていますから、会社も少しストレッチした課題を与え、独り立ちを促すようになります。

 そのため、周囲の「保護者」たちの関心が薄れ、2年目社員は孤独に陥りがち。しかも、仕事上のちょっとした試練も課せられる。心理的な負荷がダブルでのしかかり、プツンと糸が切れてしまうことがあるのです。

 私たちは、このタイミングで「一人前の仕事力」を身につけるような指導や研修を企業に提案していますが、どの企業もなかなか2年目社員のフォローをしている余裕がないのが現実です。

「若いヤツに辞められちまった。まだ、2年目に入ったばかりなのに」

 大手サービス業で営業課長を務める友人に愚痴られたのは、昨年の連休明けすぐのことでした。

「2年目だからって、放置したんじゃないの?」

 彼は少しムッとしたようです。

「面談をして、飲みにも連れて行って、不満を聞いた。若手の早期離職には役員たちも神経質になってるから、手は抜けないし、気も抜けねえよ」

「部下に辞められると、おまえの人事考課にバッテンが付くのか?」

「まあ、こういうご時世だからバッテンってことはないけど、無傷ってワケでもないな」

「辞める理由にもよるのか?」

「そんなもんは関係ない。離職は離職。“あいつを採るのにいくらかかったと思ってんだ”と人事担当役員は嫌味言ってたな」

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