30年以上の長期にわたりマイカーのオーナーに重い負担を強いてきた“暫定措置”を、さらに10年間延ばす道路財政特別措置法(改正道路整備費財源特例法)が、13日午後の衆議院本会議で、再可決され、成立した。自民・公明の連立与党が3分の2以上の議席という「数の力」で押し切ったのだ。

 この法案は、福田康夫首相が公約した道路特定財源の一般財源化という方針と明らかに矛盾する。同法の成立によって内閣支持率が一段と低下することが確実視されながら、連立与党に再考を促せなかった点で、首相に指導力がないことを浮き彫りにした。

 加えて深刻なのは、金科玉条の如く掲げられた一般財源化が、財務官僚と一部政治家(小泉純一郎元首相を頂点とする自民党の大蔵族政治家)と国土交通官僚・道路族議員との間の利権争いにとどまらず、マイカーオーナーに理不尽な負担を強制し、税の受益者負担原則を破壊する暴挙となりかねない点である。

 道路財政特別措置法は、2008年度から10年間、道路整備という特定の目的だけに、ガソリン税収入などを充てるものだ。再議決は、賛成336票、反対133票だった。民主、共産、社民が反対し、国民新党が棄権したものの、自民、公明の賛成で可決したのである。

 福田内閣になって以来、参議院で否決、もしくは否決したとみなされた法案が、衆議院で3分の2を上回る多数をもって再可決されて成立したのは、今回の道路特措法が3本目となる。補給支援特措法(今年1月成立)、ガソリン税の暫定税率を復活させた税制改正関連法(同4月成立)に次ぐものなのだ。

 同法の成立までの過程は、首相の指導力の無さを浮き彫りにした。というのは、政府は再可決に先立つ閣議で、2009年度から道路特定財源を一般財源化する方針を閣議決定しただけで、今後10年間存続するという法案そのものは修正できなかったからである。



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