5試合を残して降格圏内の18位。パリ・サンジェルマン(PSG)が絶対負けられない状況で臨んだ第34節のカーン戦で、あろうことか3―0と完敗を喫した。残り4試合というシーズンの大詰めで16位のトゥールーズ、17位のランスに3ポイントのおくれをとるという絶体絶命の危機に陥っている。

 PSGのポール・ル・グエン監督は試合後、レキップ紙に「どん底にいるような感じがしている。試合内容に失望しているし、一部の選手のプレーにもがっかりした」と語り、落胆を隠せなかった。

 DFのジェペスとサコをMFに置き、守備的MFのシャントムとクレマンを攻撃の第2列に並べるディフェンシブな布陣が裏目に出た。「先発に定着した選手にこれ以上のことはできない」という判断だった。ル・グエン監督は「この試合に勝つ気ではいたが、攻撃的な布陣は敷かなかった」と述べるにとどめ、戦術的な“ミス”という周囲の見方には同意せず、「数字的にはまだ(降格が)決まったわけではないのだから、選手たちには望みを捨てるなと言うしかない」と話すのが精一杯だった。

 選手たちの間に漂う悲観的ムードも払拭しきれない。主将のパウレタは、この敗戦で選手たちが「心理的ダメージを受けた」と語る。「まだ戦い続けなければならないが、正直言って状況はさらに苦しくなった」と認めている。FW のリュインデュラはル・パリジャン紙に、「まだ希望は捨てていない」と言いながらも、「クラブは崖っぷちに立っている。われわれがもつすべての切り札は燃え尽きてしまった。あとひとつ失敗があれば、来季は2部となるだろう」と悲痛な語り口で話す。

 カーン戦の試合終了とともに、PSGのサポーターたちがピッチになだれ込んで怒りを表した。およそ20人のサポーターはカーンからの帰路、PSGの練習場に立ち寄り、器物を損壊したうえ、壁に「ル・グエンは出て行け、経営陣は辞任せよ」といった怒りのメッセージを残した。

 創立は1970年と比較的若いクラブだが、リーグ優勝2回、国内カップ(フランス杯、リーグ杯)制覇10回という輝かしい戦歴でリーグ・アン屈指の名門にのぼりつめたPSG。1996年にはフランスのクラブとして初めてUEFA杯ウィナーズカップを制した。その名門の歴史がいま、まさに「どん底」を迎えようとしている。