クレメンスのビタミン剤使用発言が新たな波紋―。ニューヨークの地元紙「ニューヨーク・タイムズ」紙の電子版は、9日付けで、「ミッチェル・リポート」による薬物使用疑惑の渦中にいるロジャー・クレメンスが記者会見を行い、ステロイド剤の使用は全面否定したものの、痛み止めとビタミンB12の使用があったことを認めた点について、新たな疑問を投げかけている。
 「クレメンスが、ビタミンB12を使用していたと認めたのは、2つの理由から興味深いものだ。まず、一点目は、ビタミンB12は、薬物使用を認めているラファエル・パルメイロが、2005年にミゲル・テハダから“これを使うと、ステロイド使用テストで陽性反応が出にくくなる”と提案を受けていたものだから。そして、二点目は、ラテン・アメリカ系の選手は、ステロイドやヒト成長ホルモン剤の入った薬物は、ビタミンB12というレッテルを貼り付けると、米国の関税をすんなり通ることができると証言していることだ」
同記事は、記者会見の席では誰も追求しなかったが、もし、痛み止めのロドケインと、注射可能なビタミンB12の使用を使用したとしたなら、処方箋があったのかどうか、とも言及。「処方箋がないのなら、非合法に入手していたことになるし、処方箋があるとしたら、何故、医者に注射してもらわなかったのか。医者でなければ、何故、球団トレーナーに頼まなかったのか。何故、個人トレーナーに頼む必要があったのか」と、厳しく追求しており、ビタミンB12服用を認めたことが、更なる波紋を呼んでいる。
 また、クレメンスを弟子のように尊敬し、慕っていたアンディ・ぺティット投手が、すでに、薬物使用を認めたことで「あれ程、強い絆でつながっていたクレメンスが、ペティットの薬物使用を知らないとは信じがたい」と指摘。ペティッとは現時点でクレメンスに関する発言を一切していないが、「ペティットが、クレメンス問題について中枢の役割を果たすことになるだろう」と、長文記事の見出しにとっている。