ジョン・デーリー=夫婦中の危機!?でも、メスライオンには鬣(たてがみ)はありませんよね?(写真/田辺安啓=JJ)

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心配されていた強風が、とうとう吹いた。砂漠地帯特有の巻き上げるような風が早朝から吹き荒れ、早い時間にスタートした選手たちは完全にこの風にやられてしまった。だが、2日目を終えた時点で上位だった選手たちは逆にスコアを伸ばした。なぜ、こんな差が出たのか。もちろん上位陣は好調だから上位にいるわけだし、好調だからスコアも伸ばせるわけだが、それ以上に大差を引き起こしたのはスタート時間と風の関係だった。

この大会は予選2日間がプロアマ形式。決勝2日間はプロのみがスリーサムで1番、10番の両方からツーウエイでスタートする。1番と10番、どちらからスタートしたとしても、早い時間にスタートした選手たちは、ほぼ全員がスコアを落とした。しかし、昼近くになって風がやんだため、遅めのスタートだった上位陣は風を気にすることなくプレーできたというわけだ。

早朝トップスタートのジョン・デーリーは5オーバー77を叩き、昨日とは14打も違うゴルフとなって通算1アンダー68位タイへ転落。久々に3人とも決勝進出となった日本勢も、みな早朝スタートだったため、丸山大輔は76を喫し、通算5アンダー43位タイへ後退。丸山茂樹は75、今田竜二は74で、ともに通算3アンダー54位タイへ。一方、上位陣は4アンダー前後のスコアをマークし、67で回ったジョージ・マックネイルが通算18アンダー、2位に5打差で単独首位に立った。

だが、下位の選手が一層下位へ落ち、上位の選手が一層冴えたプレーをしたのは、もちろん風とスタート時間だけのせいじゃない。丸山(大)いわく、「昨日まではアマチュアが一緒だったから、ピン位置は結構易しかったんです。でも今日からはプロだけだから突然ピン位置が難しくなり、しかも風と日照りでグリーンが固くなって距離感が全然わからない。完全にはまりました」。風、グリーンの状態、ピンの位置。いろいろな要素のコンビネーションで様変わりするコースを、臨機応変に攻略しきれたかどうかこそが、スコアと順位を左右したのだ。

しかし、上位陣に人気選手がいないとなると、やっぱり会場は淋しいムードが漂う。ギャラリーもデーリーにだけ付いて回り、デーリーのラウンドが終わると同時に去っていった。そのデーリーのバッグを眺めていたら面白いものを発見した。ドライバーにかぶせられているヘッドカバーは、デーリーのトレードマークのライオンだが、3Wにはメスライオンとおぼしきカバーがかぶせられていた。ピンク色の化粧顔をしたライオン。だが、メスの顔をしているのに、どうしてだかオスのようなタテガミがある。念のためにキャディに確認してみたら「そうだよ、これはメスライオン」。いつごろから使っていたのか。「もう結構、長いよ」。実生活は波乱万丈で離婚を繰り返しているデーリーだが、ヘッドカバーのライオン・カップルは「長持ち」している様子だ。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)