東京地裁で26日開かれたライブドア(LD)事件の最終弁論公判で、元社長、堀江貴文被告の最終意見陳述の要旨は次の通り。


── (小坂敏幸裁判長)これで審理を終えるが、最後に裁判所に言っておきたいことはあるか。

 はい。ただ今の弁護人の弁論の通り、私は無罪だと確信している。公正に審議をしていただいたと感じている。厳正な審理をしていただきたい。

 そもそも私が強制捜査を受けた時、一部マスコミ、具体的に言えばNHKが午後4時ごろ、LDに強制捜査が入ったと誤報を流した。その後、3時間後に捜査に入ったのだけれども、入っていない段階で日本を代表するメディアが誤報を流すのは、報道機関としていいかげん過ぎる。私ではないが、LDの広報が検察庁に問い合わせたら「強制捜査に入る予定はない」と言われた。

 捜査令状で容疑が分かったので、社内調査をして分かったことは証券取引等監視委員会に報告した。社内調査の結果、疑われるようなことはしていないと私のブログに書いた。伝え聞いたところによると、宮内(亮治)さんや中村(長也)さんに検察官が怒りまくって「あいつは絶対実刑にしてやる」と怒鳴りまくっていたという。非常に怖いな、と思った。

 (涙声になり)10年間、一生懸命、社会のため、会社のため、株主のためにがんばってきたのに、起訴権を独占している検察庁が『あいつは悪いことをしている』と何の前触れもなく捜査に入ってきて、有無をいわさず逮捕された。

 メールを通じて仕事をすることが多かったので、正確に思い出そうと何度もメールを見せてくれとお願いしたが、拘置所で開示されたメールは2、3通に過ぎなかった。検察庁は真実を明らかにしようとしているのではなく、どんなことをしてでも私を主犯に祭り上げて絶対に有罪にしようという検察庁の強い意志を感じた。

 昨今の粉飾事件でも、証券取引等監視委員会が事前に調査をし、ヒアリングをしてから捜査に入るのが普通。それがいきなり強制捜査に入ったら、LDだけでなく市場に大混乱をもたらす。しかも、月曜日に強制捜査に入ったのは、市場への破壊力を増すためにやったとしか思えない。本当にLDの粉飾を知ってやったのなら、もっと他にやり方があったのではないか。

 検察が本来やることが法の正義を守ることが彼らの使命なら(注:本人の陳述どおり)、今回のやり方はあまりいい方法ではない。私個人に対する「あいつをとにかく有罪にしてやる」「市場への悪影響もかぶせてしまえ」という意志を感じた。

 日本で唯一起訴できる機関がそうだと、安心して商売ができない。警察が捜査して、検察が起訴するならダブルチェックができるかもしれない。ところが、同じ機関が捜査して起訴するならば、オールマイティーだ。なんとしてもあいつをつぶすということでは、本当に怖くて目立って商売できない。コソコソやれということなのか。そういうことならば、新しいことにチャレンジしていくこれからの起業(企業)家が萎縮してしまうのではないか、と感じた。(再び涙ぐむ)

 95日間勾留されて正直つらかったが、主張すべきところは主張して、裁きを受けて、(検察は)今後もっと考えて、熟慮して捜査して起訴してほしいな、と思った。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【了】

■関連記事
高井弁護士「やるべきことやった」
堀江被告、涙声で無罪訴え
堀江被告に懲役4年求刑
堀江被告弁護人がコメント