切り花をオランダに輸出する際、つぼみ状態で花を輸送すれば、トルコギキョウで1本当たりの航空運賃を3割削減できることが農研機構の試験で分かった。通常の開花した状態より箱当たりの入り本数が1・5倍に増加し、1本当たり178円だった航空運賃が123円と31%削減できた。グロリオサでは17%削減を実現。現地での日持ちも向上した。国内での輸送コスト削減にもつながりそうだ。

日持ち向上も

 
 日本の切り花はボリュームがあることなどが海外で評価されている。一方、他国と競合する品目では価格の高さが指摘され、輸送コストの削減が課題となっている。対策として、輸送用の箱に可能な限り多くの本数を詰める圧縮梱包(こんぽう)が工夫されているが、ボリュームのある花では品質低下を招く恐れがある。

 そこで、農研機構はフラワーオークションジャパンや高知県農業技術センターなどと共に、つぼみ状態でオランダへ花を輸出する効果を検証。トルコギキョウでは、着色前の緑色の花弁で、先端が少し緩んだ状態のつぼみが付いた切り花を選んだ。前処理剤で12〜24時間処理して出荷したところ、通常の開花した状態より箱当たりの入り本数が1・5倍に増加し、運賃削減につながった。

 現地での開花は問題なく進み、品種ごとの平均鑑賞期間は大半の品種で従来より延びた。最大の「セレブゴールド」では4日延び、14・9日。「セレブラブリーピンク」「レイナホワイト」では従来よりともに3日延びた。

 通常は第1花を咲かせて収穫するグロリオサ「サザンウィンド」では、第1花が未着色〜着色したつぼみを収穫。箱当たりの入り本数は従来の1・3倍に増え、1本当たりの航空運賃は266円から222円と17%削減できた。現地での平均観賞期間は、5日延びた。

 前処理剤にはトルコギキョウで、一般的に販売している前処理剤にジャスモン酸メチルの試薬を混ぜたものを使用した。花の着色を均一にするなどの効果があり、メーカーが製品化を検討中。グロリオサでは、一般的に販売しているユリの開花剤の3〜5倍希釈液を使用し、効果が得られた。

 農研機構野菜花き研究部門は「開花促進のための冬の暖房費削減など、生産者の負担軽減にもつながるのではないか」とみている。