岐阜、愛知両県は8日、豚コレラの拡大防止に向け、関係者による協議会を立ち上げた。両県は同日に設立総会を開き、野生イノシシへの経口ワクチン散布の実施計画を表明。岐阜県は25日から900カ所、愛知県は3月下旬開始で60カ所設置する。

 岐阜県は、関係市町や猟友会、県養豚協会などでつくる「県経口ワクチン対策協議会」を設立。経口ワクチンを来年3月まで計6回散布し、効果を検証する計画。散布範囲は、感染した野生イノシシが見つかっている県南部の山間部を中心に18市町900カ所で、約1200平方キロに及ぶ。3〜5月、7〜9月、来年1〜3月の3期間に分け、各2回ずつ散布する。

 イノシシが食べたかどうかをセンサーカメラで確認し、散布後に捕獲して抗体ができているかを調べる。協議会のメンバーでもある同県農政部は「国内で初めてなので、不明な点もある。関係機関が団結して、しっかり効果を評価しながら実施していきたい」と話した。18日から、ワクチンを摂取しやすくするための誘引餌の散布を始める。

 愛知県の「豚コレラ感染拡大防止対策協議会」は散布対象の市、猟友会、JA、県養豚協会、JA愛知中央会などで構成する。散布範囲は犬山、小牧、春日井の3市の山林約80平方キロ。60カ所に1回2400〜3200個の経口ワクチンを来年2月まで、3期、計6回にわたって設置する。

 協議会長に就いた県農林水産部畜産課の岡地啓之課長は「イノシシに県境はない。岐阜県ともしっかり連携しながら、全力で取り組んでいきたい」と話した。

 イノシシへの経口ワクチン散布は国が2月、岐阜、愛知両県で実施すると決めていた。