西武鉄道が特急「ちちぶ」「むさし」に導入する新型車両の001系電車「Laview(ラビュー)」を公開。球面形状が銀色に輝くその車両の内部へ入ると、とにかく大きな窓、黄色い座席による明るい空間など、外観に負けず個性的でした。

3月16日に営業運転開始

 西武鉄道が2019年2月14日(木)、新型特急車両の001系電車「Laview(ラビュー)」を小手指車両基地(埼玉県所沢市)で報道陣に公開しました。


西武鉄道が導入する新型の001系電車「ラビュー」(2019年2月14日、伊藤真悟撮影)。

「ラビュー」は、3月16日(土)のダイヤ改正から運転を開始する特急用車両です。西武の特急列車に現在使われている10000系電車「ニューレッドアロー(NRA)」は、デビューから25年が経過。さらに台車(車輪のある部分)など一部の機器類は古い電車のものを流用したため45年が経過しており、老朽化した10000系の置き換え用として「ラビュー」が製造されました。

「NRA」は7両編成ですが、「ラビュー」は1両増やして8両編成に。これにより座席を増やし、朝夕のラッシュ時や行楽シーズンでも多くの客を運べるようにしました。

 車体はアルミ製です。西武は「都市や自然のなかでやわらかく風景に溶け込むデザイン」の実現を目指し、周囲の景色が車体に写り込むようにしたといいます。隣に停車していた10000系「レッドアロークラシック」のクリーム色塗装と赤い帯も、「ラビュー」の車体に映り込んでいました。


車体への「写り込み」もデザインに採り入れた車体。

球面形状の先頭部。

大きな窓が設けられた車内。

 編成両端の先頭部は、球面の形をしているのが特徴。前面のガラスは大きな三次元曲面が採用されています。

 車内に入ると、大きな窓が目に付きました。サイズは縦1350mm、横1580mmで、特に下のほうまで広がっており、窓側の席に座ると窓の下端がひざと同じくらいの高さでした。渓谷をまたぐ橋では、下を流れる川がよく見えそうです。

「ほほ笑む機能」も搭載

 座席は横1列あたり4席(左右に2席ずつ)のリクライニングシートが配置されています。黄色をベースにした腰掛けが特徴です。客の背丈に合わせて調節できる枕と、肘掛けに収納するタイプのテーブルが備えられました。


「ラビュー」がほほ笑んでいるように見える「スマイルモード」の実演(2019年2月14日、草町義和撮影)。

 西武は「身体をやわらかくつつみ込むソファーのようなデザイン」でまとめたといい、実際にシートをリクライニングすると、肘掛けも合わせて傾きます。座席には1席に1口ずつ電源コンセントが用意されており、車内では無料の公衆無線LANも利用できます。

 トイレは1号車と5号車の2か所に設けられました。このうち1号車のトイレはバリアフリーに対応。5号車は男女共用に加え、男性専用、女性専用、パウダールームが設けられました。西武の鉄道車両に女性専用トイレが設けられるのは、これが初めてです。


黄色の座席が並ぶ「ラビュー」車内。

1席1口の電源コンセント。

西武の鉄道車両に初めて設置された5号車の女性専用トイレ。

 ちなみに、先頭車両のヘッドライトとテールライトには、「スマイルモード」と呼ばれる機能も追加されました。これはヘッドライトを半円弧状に点灯させ、あわせ円形の赤いテールライトも点灯させるもの。実際に見てみると、赤いほっぺの子がほほ笑んでいるように見えました。スマイルモードはイベント用のため、通常の運転で見ることはできません。

「ラビュー」は、8両編成7本が導入される計画です。3月16日(土)から池袋線・西武秩父線の池袋〜飯能〜西武秩父間を結ぶ特急「ちちぶ」「むさし」で使われます。すでに2編成が完成していますが、当面は最初に完成した1編成のみ使用。平日は下り5本と上り6本の「ちちぶ」「むさし」が「ラビュー」で運転されます。

 西武は今後も引き続き「ラビュー」の編成を増やす方針。池袋線・西武秩父線では2019年度末までに、特急列車のすべての車両を「ラビュー」に置き換える予定です。