日本の育成やバルサの強さの秘訣などについての話は尽きず、濃密な対談となった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 サッカーの未来について考える。語る。
 対談連載の第6回は、浜田満さんにお話を伺いました。

 浜田さんと初めてお会いしたのは、私があるスペイン人コーチの方にプレーの分析を依頼していた頃でした。そのお手伝いをしていただいている中で知り合い、それ以来、いろんなところでお名前を聞くようになり、本も読ませていただきました。
 
 サッカー界には、世の中には、「面白いな」と感じさせてくださる方がたくさんいらっしゃいます。浜田さんも、もちろんそのひとりで、新たな日々を始めた今こそ、浜田さんの活動やこれからの展望を伺っておかなくては、と思い立ち、対談をオファーさせていただきました。
 
 私には「サッカーの本場でプレー(生活、仕事)したことがない」ということがひとつのコンプレックスに似たものとして存在しています。私がサッカーを通して見てきたこと、感じてきたことはたくさんありますが、それでもそんなものは世界の中ではほんの一部に過ぎず、長い歴史をもつサッカーにおいては、なおさら一部分でしかないのだろう、と思っています。
 
 だから、サッカーを通して僕が見たことのない景色を知っている方の話に耳を傾けていかなくてはならない、という危機感が常にあります。
 
 浜田さんは、FCバルセロナの日本におけるソシオの立ち上げに尽力され、そこから足を止めることなく新たなチャレンジを繰り出されています。それによって可能性が広がった子どもが何人いたでしょうか。
 
 既存のものを疑い、サッカー界に必要だと思ったら先を見てどんどん動いていく。そのインテンシティは、日本サッカーを動かし始めています。
 
「サッカーの未来について考える、語る」
 ぴったりな方との濃密な対談となりました。
 
     ◆    ◆    ◆
 
岩政大樹 浜田さんとお会いしたのは10年前くらいでしたか?
 
浜田満 最初に会ったのは、2011年か12年だったと思います。鹿島のホテルでしたね。
 
岩政 そうでした。今日はよろしくお願いします。まずは、今の主な仕事内容から教えてください。
 
浜田 日本全国で良い選手を見つけて、トップレベルの選手になるまでサポートしています。岩政さんもやられていたプレーコンサルティングなどの提供もそうですし、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジという国際大会やバルセロナの指導者によるスクールなども開催しています。
岩政 子どもたちにフォーカスしているわけですね。具体的な内容は?
 
浜田 深いレベルまで落とし込むために、全国のトップレベルの選手だけを集め、サッカーサービス社のスペイン人コーチの元、練習をしています。また、姿勢や重心移動、蹴り方などを中西哲生さんに見て頂いたり、古武術の動きが面白いなと思ったので、今度選手と引き合わせようと考えているところです。その他にも、栄養管理や、五輪選手のメンタルトレーナーをしている柘植陽一郎さんにお願いして、子どもたちの悩みを解決したりしています。
 
岩政 いろいろやられていますね。
 
浜田 そうですね。プロになった後にプレーや習慣を変えるのは難しいですが、小さい頃から少しずつ積み重ねていけば、トップレベルに近づける確率は高まります。今は我々が関わった選手が、どれだけ代表選手やトップレベルの選手になれるかを試しているところです。
 
岩政 子どもたちの反応はどうですか?
 
浜田 いろいろとあって面白いですよ。例えば、メンタル面。選手には必ず好不調の波があるんですが、子どもたちは一直線に成長するものだと思っているので、壁にぶつかると悩んで止まるんです。でも、その時に抱えている問題は、選手によって違います。チームメイトとうまくいっていないとか、監督と考えが合わないとか、テストの成績が悪いのを両親に隠していて気になるとか。(笑)