「正常な月経」を知っていますか?

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執筆:青井 梨花(助産師、看護師)
監修:坂本 忍(医師・公認スポーツドクター・日本オリンピック委員会強化スタッフ)


月経の量や周期の乱れなどから思わぬ病気がみつかることもあります。

女性特有の病気の早期発見のためにも、正常な月経の目安を知っておきましょう。

私の経血量は多い?少ない?

実際に、自分の月経血の量をほかの人と見比べる機会というのは、なかなかないですね。

ですから、自分の経血量が多いのか?それとも少ないのか?

そしていったいどのくらいまでが正常範囲なのか、判断がむずかしく、わかりにくいものです。

もちろん個人差はありますが、成人女性の1周期(1回の月経期間内)における正常な総経血量の目安としては、平均20〜140mlといわれます。

つまり、プラスチック容器の乳酸菌飲料2本分ほどまでが正常の目安となります。

また、昼用のナプキンが1時間もたない、経血に大きなレバーのようなかたまりが混じるなどの症状がみられる場合、月経血が多い「過多月経」の可能性があります。

過多月経の陰には、子宮筋腫や子宮内膜症など、女性特有の病気が潜んでいる場合もあります。

また、経血量が多い状況が続いていて、立ちくらみやめまい、疲れやすいなどがあれば、貧血の症状である可能性が考えられます。

一方、経血量がおりもの程度の量で、ほとんどナプキンが必要ないような場合を「過少月経」といいます。

この場合、女性ホルモンの分泌が低下していることが考えられます。放っておくと不妊の原因にもなりうる場合もありますから、注意が必要です。

把握していますか?月経周期や出血持続日数

また、自分の月経周期や出血持続日数が正常範囲なのかどうか知っておくことも、健康のバロメーターのひとつです。

月経がはじまった日を月経周期1日目とすると、14日目ほどで排卵がおき、排卵後、通常は12〜16日で次の月経となります。


このことから、月経周期の正常範囲の目安は、およそ25〜38日となります。

この目安より、短かったり、または長かったりする場合は、生理周期の異常として次のように分類されます。

頻発月経


毎回の月経が24日以内にくる場合

希発月経


毎回の月経が39日以上空くが、3か月以内に次の月経はくる場合

不整周期月経


周期が長かったり短かったり、毎回バラバラな場合

続発性無月経


それまであった月経がなくなって、3か月以上こない場合

また、出血持続日数は、通常3〜7日間(平均5日間)ですが、月経期間が長かったり短かったりする場合、次のように分類されます。

過短月経


月経期間が2日以内

過長月経


月経が8日以上、長く続く


女性のカラダは、人間関係や環境の変化などのストレス、急激なダイエットや過度な運動、不摂生などに反応しやすく、ホルモンバランスが乱れやすいものです。

ですから、精神的・身体的状況によって生理周期が多少ズレることはあります。

ただ、そのズレが長引き、継続的である場合、将来、不妊となる可能性を生んだり、子宮や卵巣などに女性特有の病気が潜んでいた…というケースもあります。

ですから、自分の月経周期や持続日数を普段から把握しておいて、いつもと比べてズレや変化が激しい、間隔が長期にわたる(とくに3か月以上)ということがあるようなら、婦人科で一度、検査を受けてみた方がよいでしょう。

「月経があれば排卵している」は、ウソ?ほんと?

一見、月経がきていて問題がないように思えても、実は必ずしも排卵しているとはかぎらないことがあります。

これを「無排卵周期症」といって、月経異常のひとつにあたります。この場合、月経周期は不順で、出血持続期間も長かったり、短かったりとさまざまであることが多く見受けられます。

基礎体温を測ってグラフ化すると、排卵がある正常な月経周期の人の場合、排卵を境に月経1日目から排卵日までが低温期、排卵日から次の月経までが高温期の2相性となります。

ところが、無排卵周期症の場合のグラフは、無排卵をあらわす低温期も高温期もない1相性を示します。

無排卵周期症の原因としては、おもに女性ホルモンのバランスの乱れが考えられます。

「私の月経、正常範囲じゃないかも・・・」そんな時どうする?

このように、自分の月経周期を客観的に把握するためにおすすめなのが、基礎体温を測ることです。

自分の月経周期や期間はもちろん、グラフの形から女性ホルモンが正常に働いているか、また排卵をしているかどうかなどもわかります。

排卵期の予測、次の月経の予測もできますから、月経周期のリズムで変化する自分の体調に合わせて、予定をたてたりコントロールしたりすることが可能です。

お伝えしてきたように、月経異常のなかには、病気が潜んでいる場合もあります。

もし思い当たることや心配なことがあれば、ぜひ一度、婦人科の医師に相談をしてみましょう。


<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。