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テレビ備え付けの賃貸物件で、NHKの放送受信料を入居者が支払うべきかどうかをめぐり、元入居者とNHKが争っていた裁判で、東京地裁(佐久間健吉裁判長)は10月27日、「物理的・客観的に放送を受信できる状態を作出した者」に支払いの義務があるとの判断を示し、元入居者の男性に受信料の返金を認める判決を下した。

放送法64条では「受信設備を設置した者」に受信料の支払い義務があると定めており、テレビ備え付け賃貸の入居者が「設置した者」に当たるかどうかが争点になっていた。

訴状などによると、原告は福岡県在住の男性。仕事の都合で、2015年10月から兵庫県内にあるレオパレス21の物件(短期プラン、30日〜100日)に会社名義で33日間入居したところ、NHKの集金人から執拗に契約を迫られ、サインの上、受信料を支払ったという。男性は受信料の支払い義務がないとして、NHKに1カ月分の受信料(1310円)の返還を求めていた。

レオパレス21の担当者によれば、レオパレスの物件では、入居者がNHKの受信料を支払うように定めており、空室では受信料が支払われていない。

男性は、テレビを設置したのはレオパレスであると主張。短期間の宿泊施設として利用されるホテルでは、ホテル側が受信料を支払っていることを例に、男性自身に支払い義務はないとしていた。対するNHKは、「受益者負担」の観点から、テレビを現実に占有・管理している入居者が実質的な「受信設備を設置した者」に当たるなどと反論していた。

判決は、「受信設備を設置した者」は物件のオーナーまたはレオパレス21であると推認でき、原告の男性でないことは明らかとした。判決後、原告側代理人の前田泰志弁護士は「過去まで含めてレオパレスに入居したことのあるすべての人に影響がある判決だ」と話した。

【17:00追記】

判決を受けて、NHKは「契約を締結する義務が居住者側にあることを引き続き2審でも訴える」と控訴する意向を示した。

(弁護士ドットコムニュース)