中国政府・商務部の沈丹陽報道官は3日の記者会見で、日本の対中投資の減少幅が大きいことについて、コスト高が大きな原因とする考えを示した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国政府・商務部の沈丹陽報道官は3日の記者会見で、日本の対中投資の減少幅が大きいことについて、コスト高が大きな原因とする考えを示した。

 沈報道官はまず、日本は現在も、重要な対中投資国だと表明。2015年末までに日本の資本が中国で設立した会社は累計5万社近くになり、実行ベースの投資総額も1018億2000万ドルに達し、国別では世界第3位と指摘した。

 その上で、日本の対中投資は2014年は前年比38.8%減、15年には25.8%減と、大幅に減少していると説明。第1の理由として、為替レートで日本円に対して人民元高になったので、日系企業が中国で生産して輸出する場合の利点が少なくなったことを挙げた。

 2番目の理由としては、中国経済が「新常態」を迎えて成長率が落ち、土地や労働力のコストが上昇したため、一部の日本企業は今後に懸念を抱き、対中投資で「様子見」になったためとした。

 その次には、日本の対中投資が本格化した時期は早かったため、大企業の多くはすでに中国に進出済みであることを挙げた。すでに進出した日本企業が投資効率の向上を求め、新規投資は控える傾向があるという。

 さらに、各国企業が対中投資を積極的に展開し、中国企業も伸びてきているので、競争激化により中国から撤退せざるをえない日本企業もあると説明した。

 沈報道官の挙げた4つの原因のうち2つは、「コスト高による投資離れ」を意味する。また、反日暴動で日本企業に被害が出たことがあるなど、政治絡みの「中国ビジネスのリスク」の問題には触れなかった。

 沈報道官は、「さまざまな調査で、絶対的多数の日本企業が中国市場には巨大な潜在性があり、極めて重要なので手放せないと認識している」と主張した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)