飯田里穂とふたりで過ごす メリークリスマス♪
社会現象を巻き起こしているスクールアイドルプロジェクト『ラブライブ!』。アニメと現実の声優ユニット両方でμ'sが結成されるなど、かつてないメディアミックスの手法も話題を呼んだ。その星空凛役で大ブレイクを果たした“りっぴー”こと飯田里穂は、声優は初挑戦ながら、2002年に『天才てれびくん』(NHK)に出演し、芸歴15年という経歴の持ち主。可愛らしい見た目とサバサバとした内面とのギャップでファンを魅了する、24歳の素顔に迫った。

撮影/アライテツヤ 取材・文/江尻亜由子
ヘア&メーク/福島加奈子 撮影協力/Awabees

憧れの『天てれ』の世界は、まさかの…!



――『天才てれびくん』のテレビ戦士となられたキッカケは何だったのでしょう?

『天てれ』は記憶の最初にある頃から大好きで。CGで作られている『天てれ』の世界が本当にあると思ってたんです。『天てれ』の世界の人になりたいってお母さんに言ったのがはじまりでした。

――それで、事務所のオーディションを受けられたんですよね。

はい、それが今の事務所です。それですぐに『天てれ』のオーディションを受けたんですけど落ちてしまって、翌年にもう1回トライして受かったんです。

――実際に入ってみて、『天てれ』の世界はどうでした?

いやぁもう、本当にびっくりしたのが、「ブルーバックなんだ」っていう(笑)。私が憧れていたCGの世界はどこにもなくて。合成前のブルーバックで「このへんにキャラクターがいる」っていうのを想像しながらやってたわけですよ。

――(笑)。

あれは、本当に忘れられない衝撃でした。小4にして、「世の中ってこうなってるんだ」っていうのを知った瞬間でしたね。

――では、子ども時代はどんな女の子でした?

すっごい人見知りでしたね。妹は誰にでも話しかけられるタイプで、私とは正反対。でも『天てれ』に出演するようになってから、仲間もできたし、大人の方と話すようになったし、性格が大きく変わりました。今では人が好きすぎるくらいです!(笑)

「命を吹き込む」楽しさを知った



――『ラブライブ!』で声優デビューして、大ブレイクを果たされた飯田さん。声優というお仕事には、いつごろから興味があったんでしょう?

もともとゲームとか大好きだったんです。プレステ、プレステ2、ゲームキューブとか全部そろってるくらいゲーム好きな一家で。お父さんが勧めてくれたアニメやマンガも見てました。『はじめの一歩』とか『キャプテン』とか。あ、『キャプテン翼』ではなく、野球マンガのほうなんですけど。

――英才教育を受けていたんですね(笑)。

でもその頃は、声優さんっていう存在を漠然と知ってるくらいで。「こういうお仕事だ」ってしっかり理解しはじめたのは、『ラブライブ!』のオーディションを受けてからなんですよね。

――声優のオーディションを受けるキッカケは?

その頃は、何にでも挑戦したいっていう気持ちがあって。まぁ今もなんですけど(笑)。

――それがめちゃくちゃな大ヒットを記録した、と。

ホントですよねぇ。びっくりしましたよね!!

――そんな、他人事みたいに(笑)。最初に出演が決まったときは、プレッシャーを感じたりしなかったですか?

それがですね、いま振り返ると、「最初の頃は何をやってるのか全然わかんなかったよね」って、他のメンバーもスタッフさんも口を揃えて言うんですよ(笑)。いきなりドラマCDの収録から始まって、歌だけ出して、みたいな感じだったので。

――メディアミックスの手法も新しいし、何をしようとしてるんだろうっていう戸惑いはあったんでしょうね。

それに加え、私は声優のお仕事自体が初めてだから、すべてが手探り状態でした。

――それを続けてやってきて、いま、どんなところが楽しいですか?

自分が命を吹き込むことによって、そのキャラクターの存在価値みたいなものが生まれることの楽しさがありますね。その子と共有している時間が長ければ長いほど、やってるときにその子になりきれるっていうのも、本当に楽しいです。



電車の中で不審な動きをしてるかも(笑)



――μ'sのメンバーとしても実際にステージに立っていらっしゃいますが、もともとアイドル好きなんですよね。
 
はい! モー娘。さん、AKB48さんがドンピシャの世代で、歌も踊りも完コピしてました。高校3年生の文化祭で、AKBさんの楽曲を披露したんですけど、私がみんなに振り付けを教える係でした(笑)。

――それだとやっぱり、実際のアイドル活動ができて、うれしいですよね。

自分もいつかかわいい衣装を着て、ステージで踊りたいなっていうのはどこかで思ってたので…。ただ、私の場合はまた違うのかなと。凛ちゃんがいなかったら、私はこのステージには立ててないなと思うんです。だから歌でもライブでも、飯田里穂としての面もあるけど、やっぱり凛ちゃんをどこかに感じながらやらせてもらってます。
 
――μ'sのライブでは、動き方とかもアニメのイメージを意識していますか?

凛ちゃんは元気いっぱいのキャラクターなので、ライブの終盤、どんなに足がパンパンでも駆け抜けますね。足が折れちゃいそう!って心の中で思いながら(笑)。

――さきほどアイドルの完コピをしていたとお話されていましたが、フォーメーションや振りを覚えるのは得意なほう?

それが、最初の頃はできないほうだったんです。ダンス経験のあるメンバーに比べると振り覚えも悪いし…。それが今は、みんな振り入れがすごく早くなったと思います。鍛えられるんだな、人間って…と(笑)。

――自分比でいうと、何倍速くらい?

2倍くらいかなぁ? 以前は振り入れだけで3〜4時間かかっていたのが、今は1〜2時間で振りを覚えて、残りの時間はフォーメーションの練習にあてる、みたいな感じになりました。

――それはスゴい! おうちで自主練したりもするんですか?
 
やりますね。電車の中とかでも音楽を聴きながらステップを踏んだりしてるので、周囲から変な人だと思われてるんじゃないかな…(笑)。やたらあの人動いてるな!?って思ったら、私かもしれないです(笑)。




ソロライブ直前、人生初の胃痛に



――今年の夏には、メジャーデビューアルバム『rippi-rippi』をリリースされて、来年1月にはシングルもリリース予定。もともと歌うことは好きだったんですか?

大好きでしたね。家でもよく歌ってて、家族に「うるさい」って言われることも…。

――飯田さんの生歌なんて、めちゃめちゃ贅沢なんですけどねぇ…(笑)。

そうですよね!?(笑)

――最近は、どんな曲を聴くんですか?

アイドルの楽曲は元気が出るので常に聴いていますが、自分がソロとしてデビューしたので、女性のシンガーソングライターの方の楽曲も、勉強を兼ねて聴くようになりました。

――とくにお気に入りのアーティストはいますか?

最近ずっと聴いているのは、井上苑子さんと、片平里菜さん。「AWA」っていう音楽配信アプリを使ってるんですけど、「女性シンガーソングライター」で検索をかけまして。ひととおり聴いてみて、好きな表現だな、好きな曲調だなって思ったのが、このおふたりだったんです。

――どういうところに惹かれたんでしょう?

まっすぐなところ。自分もそういうふうに表現したいなって思うので。あとはmiwaさんとか、いきものがかりさんとかも聴きますね。あ、CHiKO with honey Worksさんの『世界は恋に落ちている』も大好きで、カラオケでは絶対歌います!!

――11月には初のソロライブも体験されましたけど、最初は緊張されました?

24年間生きてきて、初めて仕事の前に胃が痛くなりました…。

――基本、緊張しないタイプなんですね。

緊張することはいっぱいあったけど、乗り越えてこられたんですよね。それが今回は、ライブ前に「え、この痛みは何!? これが胃痛!?」みたいな…それでマネージャーさんに胃腸薬を買ってきてもらいました(笑)。

――それでもライブをやってみたら、楽しかった?

はい! 終わりたくないよって思いました。自分ひとりのライブのために集まってくれた人がこんなにたくさんいるんだ!っていうのが、いまだに信じられなくて。

――来年にも追加公演が決まりましたね。

私も好きなアーティストさんのライブに行くんですけど、「ライブに行くんだ」って決めた日まで、いろんなことを頑張れるんです。だから、自分もその立場になれたらいいなって。「りっぴーのライブに行くから、勉強も仕事も頑張るんだ」って思ってもらえたらうれしいですね。