母にとって人生初のライブ体験。僕の横で、母は一瞬も逃すまいと見つめていた(画像:World Image/PIXTA)日常をやり過ごすために必要なのは、映画館の暗闇の中のような絶対的な安心感。ひとりの時間、寄り道と空想、たしかな名前の付いていないあれやこれや。作家・燃え殻が描く、疲れた夜にそっと寄り添う30篇とちょっとのエッセイ集『明けないで夜』より、母のこと。お好み、どうよ?「普通にしなさい」それが母の口癖だった。