その年は、とにかく暑かった。気温40℃超えが何日も当たり前のように続いた夏。その猛暑の熱が、11月に入ったというのに往生際悪く居座り続けて、秋の気配などまるで感じられなかった暑い夜。ある街で《私の青春》が始まった。 ある街とは…東京・港区・西麻布。その時の私は28歳の誕生日を1ヶ月後に控えた、いわば立派な大人。私にとっての青春…今風に言うなら《アオハル》というものは、その響きだけで気恥ずかしくなるような、