義手「handiii」メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞

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第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展がはじまった。
場所は国立新美術館[2階 企画展示室2E]。
期間は2015年2月4日(水)〜15(日)。入場無料。
アート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門の4部門があり、世界中から3,853作品の応募があった。
受賞作品展では、そこから選ばれた受賞・審査委員会推薦作品、功労賞受賞者の功績を一堂に展示し、さまざまなイベントを繰り広げる。
期間中多数開催されるさまざまな全イベントも参加無料だ。
まあ、ざっくりと言ってしまえば、最先端を走る刺激的な作品がズラっと一気に見渡せる展覧会である。
「何か面白いこと、刺激的なこと、ワクワクすることは、なんかないのか」と思っている人は来るがいいよ。

さて、エンターテインメント部門審査委員をつとめている米光一成が、気になった作品を紹介するよ。
今回はエンタテインメント部門からいくつか。

■handiii

筋電義手「handiii」は、パーツを3Dプリンターで作り、制御にスマートフォンを利用する。
義手の材料費を安価にして、取り扱いを軽快にするプロジェクト。
なんといってもカッコイイ。人肌に似せるデザインではない。スニーカーのように義手がファッションアイテムになった。
実物のカッコイイhandiiiが複数展示されているので、見惚れてほしい(全面ロゴが入っている義手のかっこよさったら!)。

■のらもじ発見プロジェクト

古い町並みにある看板の手書き文字を「のらもじ」と名づけ、それを発見→分析→フォント化を進めるプロジェクト。
「のらもじ発見プロジェクト」のサイト上では、お店の写真の看板を好きな言葉に変えることができる。
受賞作品展では陶器屋「つるや」の看板の実物も展示されている。

■Slime Synthesizer

にょーーーと伸びるスライムを触ることで演奏する装置。
平均律をベースにした音楽から解き放たれ、キーボードを消失させた不定形シンセサイザーだ。
ひとり演奏用と、ふたりで手をつないで演奏する二台で実際に体験できる。

■3RD

鳥を模したヘルメットをかぶると視界は、俯瞰映像になる。
一人称視点ではなく客観視点で行動することで、認知が日常から乖離していく。
実際に試してみることができるので、体験してみてほしい。

■5D ARCHIVE DPT.
KBCのテレビ番組。
フィールドレコーディングされた博多織の折機が奏でる音、鉋がけの音、和紙をすく音が、九州発のアイドルグループLinQの曲に組み込まれる。
さらに音楽にあわせて、伝統工芸の工房内で、女子高生や少年たちがダンスする映像がシンクロする。
受賞作品展では、伝統工芸品の展示とともに映像を堪能できる。

■Ingress

エンターテインメント部門大賞は「Ingress」。
Google’s Niantic Labsが開発・提供している位置情報ゲームだ。
エネルギーが出ている現実のその場所「ポータル」に歩いていってハックする。。
外に出て、歩いて、新しい道を発見するゲーム。
文化庁メディア芸術祭受賞作品展では、3つのスクリーンに囲まれているリアルパワーキューブを中心にさまざまな展示が行われている。
スクリーンに映しだされているのは「啓示の夜のパワーキューブ」「国立新美術館」「国立新美術館エントランス」3個所のポータル。
3つのポータルの状況によってリアルタイムにメッセージ映像が変化し、パワーキューブに浮かび上がる。
噂によるとさまざまな条件で出現するメッセージ映像があり、それらはまだ見つかってないものもあるらしい。
レアアイテムを入手するための暗号も隠されているらしい。
エージェントのみなさん、ぜひ会場に。

もちろん、これ以外にも見どころたくさんだ。
アート部門の「NyloId」。(本来はIにトレマを付す)(文化庁メディア芸術祭で気になった受賞作。生け捕りされた異星人がコルルルルルルル「NyloId」)も必見。

第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展は、
米光予想では、会期前半(とくに平日)は、まだ混雑してなくて、ゆっくり観れるのではないか。
2月15(日)まで! 2月10日(火)は休館だから注意。
詳しくは、第18回文化庁メディア芸術祭公式サイトで。
(米光一成)