2013ヴィンテージで3,500本生産された『大阪紫葡萄酒』

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2014年7月、大阪市中央公会堂で大和葡萄酒株式会社が主催するワインの試飲会が開かれた。試飲するワインの名前は『大阪紫葡萄(ブドウ)』。関西での反応は上場だったらしい。

大阪と紫ブドウ。この関連性をご存じならば“通”の方だろう。

ワインをこよなく愛する筆者は、『大阪紫葡萄』の名前がとても気になった。大阪にブドウ畑があるなんて聞いたこともないし、どうも大阪とワインが結びつかないからだ。

さっそくこの謎を解明するために大和葡萄酒株式会社に問い合わせたところ、驚きの事実が判明。なんと日本のブドウ古来品種6種類のうちの1つが、大阪で作られていた『紫葡萄』なのだという。つまり昔、大阪には、ブドウ畑があったのだ。

担当者は、「大阪のブドウ『紫葡萄』は、豊臣秀吉が朝鮮出兵の折、持ち帰ってきたという記録があります。この古来品種は古くから大阪に根付いてきたのですが、普及が進まず絶滅寸前に。約15年前から研究が再開され見事に復活を果たしました。当社でも甲州の地で『紫葡萄』の育成に成功し、今回3,500本、『大阪紫葡萄酒』ワインを生産することできました」とのこと。

大阪にブドウの古来品種が存在していたなんて感動! 気になるのはそのお味。

「現在日本のワインは大変注目されていますが、日本のワインは世界との格差が十分にあると考えています」(同)

大変申し訳ないのだが、筆者の国産ワインに対する評価も同じであった。ワインは今のところ海外のものの方が充実していて、全般的においしいと思っていた。さて、日本古来品種『紫葡萄』を原料にしたワインのお味はいかがだろうか。

実際に『大阪紫葡萄酒』を試飲してみたところ、驚きと感動はただならぬものがあった! 色、香、味に分けた筆者の評価は以下の通り。

・色:薄いこはく色でとても上品
・香り:一瞬ドライな香りがして、続いてフルーティなアロマが広がる
・味:本当においしい! 一口ふくめば酸味、フレッシュなブドウの味が舞い込んでくる。そのあとには、まろやかで深いブドウの甘味の余韻が長く続く。後味はフレッシュジュースのようなさわやかさをもたらしてくれる。後味のよさにはただならぬ感動をおぼえた。

「大阪で『紫葡萄』を育てて、大阪から広げたい。そのために、現在は大阪でワイン栽培ができる土地や栽培者を探しています。日本らしさ、大阪らしさを訴えるためには、独自性のあるブドウ、独自性のあるワインが必要になってくると思います」(同)

こんなにうまい国産白ワインが簡単に手に入るようになれば、筆者のように喜ぶ人は大勢いることだろう。大阪がワインで有名になる日はそう遠くないだろう。ステキな話だ。
(W.Season)