スコットランド・スペイサイドのバーでわざわざ作ってもらったハイボール

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数年前から、再び人気に火がついたハイボールハイボールとはウイスキーのソーダ割りのことである。ウイスキーは欧州の定番酒の一つだが、欧州のバーへ行ってもハイボールという飲み方は全くメジャーではない。そこで欧州の人は日本特有とも言えるハイボールをどう思うのか。現地で聞いてみた。

欧州の中でも特に日本への関心が高いフランス。ここは日本産ウイスキーにとって得意先の一つだ。財務省貿易統計によれば、2012年の日本産ウイスキー輸出額はフランスがもっとも高い。パリ市中の小売店でも、日本産ウイスキーをよく見かける。

パリ市内で日本産の酒を多く扱うバーの経営者によれば、日本産ウイスキーの認知とともに、ハイボールの”新しさ”に関心を示す人もいるという。近年のフランスは、夏に気温が高くなることが多い。そのような時期になると、爽やかさを感じるハイボールに興味を示す客もいるそうだ。

次に聞いたのは、ウイスキーの本場英国。ここでも日本産ウイスキーの評価は高まっている。最近では今年3月、英ウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』が主催する「ワールドウイスキーアワード2013」にて、ブレンデットウイスキー部門にサントリー「響21年」が、シングルモルト部門に鹿児島県の本坊酒造「マルスモルテージ 3プラス25 28年」が、それぞれワールドベスト賞を獲得した。

多くのウイスキー蒸留所が集まるスコットランド、スペイサイドにあるバーで同様の質問をしたところ、注文を受ければ作るが、好まれる飲み方ではないという返答だった。もちろん、日本にハイボールという飲み方があるのは知っているし、日本メーカーの努力でハイボールが再び人気になったことも知っている。同バーでは多くの日本産ウイスキーも扱う。しかしスコットランドでは、ハイボールウイスキーを飲む人はいないだろうということだった。

ウイスキーの中でも繊細な香りを楽しむシングルモルトは、香りを損なわないよう、ストレートかほんの少量の水を加えるのが本来の飲み方である。本場でもハイボールの存在は一部で知られてはいるものの、やはり主流にはならないようだ。
(加藤亨延)