「仕事を天秤にかけることもあります」アンジャッシュ・渡部建に聞く「高校野球」
全国各地で、甲子園を目指した戦いが繰り広げられている。この熱戦を芸能界で最も楽しみにしているのが、お笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建だ。高校球児＆高校野球ファンのバイブル『報知高校野球』で連載を持つほか、スマートフォン向けマガジン『週刊野球太郎』内の「野球芸人」コーナーでも高校野球の見どころを語っている。そんな渡部と高校野球の密な関係性について話を聞きました。
《神奈川を制するものは全国を制す》
─── いよいよ、各地で予選が始まりました。
渡部 始まりましたねー。夏はもう、スケジュールを組むのが大変なんですよ。高校野球と仕事を天秤にかけることもありますから（笑）。
─── 注目区は？
渡部 今年はやっぱり、神奈川ですよね。桐光学園の松井裕樹君をはじめ、いいピッチャーがたくさんいますから。あとは僕、ずっと八王子に住んでいたんですが、八王子って東京都なのに、テレビでTVK（テレビ神奈川）が映るんですよ。なので、子どもの頃から神奈川の試合ばっかり観ていたんですよね。
─── それはちょっと羨ましい。
渡部 あとは『ドカベン』の影響もありますね。ドカベン世代なんで、神奈川高校野球へのリスペクトっていうのはやっぱりありましたね。
─── 神奈川を制するものは……
渡部 そうそうそう、それです（笑）。「神奈川を制するものは全国を制す」。
─── 私も『ドカベン』でその言葉を学びました。
渡部 ドカベンとTVKのおかげで、神奈川の高校野球はヤバい！ っていうのが子どもの頃から自然とわかっていたのかもしれないですね。
《選手のサイドストーリーが好き》
─── 渡部さんが高校野球観戦に熱中するようになったキッカケは？
渡部 もともと、高校野球はずっとテレビでは見ていたんです。でも、球場にまで行くようになったのは、2009年に母校である都立日野高校が西東京予選で快進撃を続けたのがキッカケですね。
─── 準決勝で、日大三高をあと一歩まで追いつめた年ですね。
渡部 ちょうどその年に、同じOBである忌野清志郎さんがお亡くなりになって、何かと話題になることが多かったんですよ。さらに、秋の大会で人生初の逆転サヨナラ満塁ホームランを目撃してしまって……。そんなの魅せられたら、もうね。
─── そして今では、渡部さんと、同じ人力舎所属のお笑い芸人の皆さん（ラバーガール・大水洋介、いけだてつや、早出明弘）で「人力高校野球観戦部」なる部活まで立ち上げました。高校球界での知名度も、かなり高くなっているんじゃないでしょうか？
渡部 おかげさまで、高校野球ファンの方やライターの方にも認知いただいてきたみたいで、全国どこの球場に行っても、その試合の見どころや注目選手を自然と教えていただけるようになりました。
─── 球場で初めて会う人に話しかけられたりも？
渡部 ありますあります。最近は特に、父兄やOBの方が話しかけてくれて、自分の高校のエピソードを語ってくださいますね。例えば「キーマンはあの子だ」とか、「あの子はただ投げてるだけじゃなく、ケガから復帰した過程も含めて投げてるです」といった感じで。
─── どんどん見どころが増えていく。
渡部 僕はどちらかというと、技術よりも選手のサイドストーリーが好きなんです。「あの子はどこそこの中学出身で、あの子とライバル関係だった」とか。「あの子は母子家庭だから高校選びがこうなった」だとか。そういう、スポーツドキュメントが好きなんですよね。テレビでも、「Get Sports」や「バース・デイ」といった番組が昔から大好きなんで。
─── そういうエピソードが、自然と渡部さんのところに流れていき、蓄積していくんですね。
渡部 初めて行った球場でも、選手表だけじゃわからないようなサイドストーリーを、球場にいる皆さんが教えてくれるので、楽しみ方としてはすごく贅沢ですよね。
《全部お笑いにフィードバックができる》
─── 「人力高校野球観戦部」のメンバーで全国各地の地方予選を見て回り、その活動の様子を「高校野球大好きナイト」というイベントで定期的に報告しています。私も以前イベントに参加しましたが盛況でした。
渡部 TwitterなどのSNSの力も大きいと思いますが、やっぱり、高校野球について語りたいけど語る場がない、っていうフラストレーションを抱えている方が多かったんだと思います。
─── 前回イベントでのネタで面白かったのが、渡部さんのデジカメには、高校球児の太ももやケツの写真ばっかりで、流出したらヤバい！ という。
渡部 そうそう（笑）。高校生って、ひと冬越えると、体つきが大きく変わるんですよ。その違いがもっとも顕著に出るのが下半身。後輩にも「下半身に成長の跡が出るから、下半身を撮ってこい」と言ったら、デジカメが高校生の下半身写真ばっかりっていう（笑）。先日東野幸治さんに「お前それ、とうとう児童ポルノやぞ！」って言われましたからね。
─── でもそれが、「高校野球大好きナイト」で盛り上がるネタになったり、テレビやラジオのトークでも生きてくるのでは？
渡部 そうなんですよ。僕の場合、全部お笑いにフィードバックができるんで。もしこのままハマりすぎたとしても、それはそれで、「お前なにやってんだよ！」というネタにもなるだろうし。
─── ネタ、という意味でいうと、アンジャッシュのコントで野球ネタをやろうとは？
渡部 いや、それは全くないですね。
─── それは、野球がコントにしにくいから？
渡部 そんなこともないとは思うんですけど、考えたことはないですね。そうですねぇ、高校野球ネタ……いけだてつやは球児のモノマネをやったりしていますけどね。
─── ラバーガールさんも野球ネタはしてないですよね。
渡部 やっぱり、好きだからこそコントのネタにしよう、という発想にならないんじゃないですかね。高校野球って、事実が小説よりも面白いことがいっぱいあるじゃないですか。そうなると、「これを元に」っていう風にならないですよね。監督さんにしても、あり得ないような強烈なキャラの方もたくさんいるし。
─── 高校野球の中にもう「笑い」や「感動」があり、それはコントにするよりも、観戦したいという。
渡部 そうですね。うん、全くその通りで。ただ、ガイドとして「こういう見方をしているよ」というのはひとつエンターテイメントにはなると思うんです。いけだが甲子園で野宿したり、どこか変な球場まで観に行ったりとか。そういう漫談として、面白いエピソードは紹介していきたいですね。
《相方が熱狂するとすごく冷めちゃう》
─── 高校野球に関していうと、ニッポン放送が制作した、高校野球マンガ『ラストイニング』の架空実況中継で解説役をしていました。
渡部 クリスマスイブの放送だったんですけど、ニッポン放送に「何でこの時期に高校野球やってるんだ？」「どこの試合？」っていう問い合わせが結構あったみたいですね。松村邦洋さんからも「あれ、なんだったの？」と反響をいただいて。
─── 実況も煙山アナウンサーで、臨場感がすごかったです。
渡部 「ギャラクシー賞」という、放送文化に貢献した個人や番組に贈られる賞があるんですけど、それをいただけたのが『ラストイニング』の架空実況でした。この業界でもなかなか皆さん取ることができない賞なので、うれしかったですねぇ。先日発売された『ラストイニング』38巻の帯も書かせていただいたんですよ。
─── 高校野球マンガもお好きですか？
渡部 好きですねぇ。素晴らしい作品が多いですよね。『ドカベン』はもちろん、ちばあきお先生の作品でも、（中学野球の）『キャプテン』よりも（高校野球の）『プレイボール』の方が好きなんですよ。なんでですかね？
─── 根っからの高校野球好き！
渡部 今だと、『ラストイニング』と『砂の栄冠』はチェックしています。僕、三田紀房さんの作品は『スカウト誠四郎』の頃からファンで。もしお金を出して完結した作品の続きを描いてくれるんだとしたら、『スカウト誠四郎』を一番描いて欲しいですもん。よく考えたらアレ、誰が読むんだ？ っていう作品ですよね！（笑）。三田先生、さっすがですよ。
─── 最後にアンジャッシュについても。アンジャッシュは、結成が1993年？
渡部 そうです。だから今年が20周年ですね。何かやらなくちゃ、と思ってはいるんですけど、今はお互い結構バタバタしているので、なかなか。それに、夏は野球も見なくちゃいけないんで（笑）。ネタはずっと作ってるんですよ。だから、ある程度溜まったら発表したいなとは思ってはいます。
─── 児嶋さんは野球には？
渡部 まったく！ もう、ビタ一文興味がないですね。でもコンビって、相方が熱狂するとすごく冷めちゃうんですよ。だから僕は僕で『ワンピース』とかマンガを全然読まなくなっちゃうし、ももクロも全然見なかったんです。相方の熱があるほどこっちは冷めちゃうというか、距離を置きたいというか。
─── 児嶋さんも都立日野高校出身ですよね？
渡部 そうです。だから、もし母校が甲子園、ということがあれば、あいつにもガッツリ寄付金払わせますけどね。
まだまだ続く、高校野球にまつわるエピソードトーク。
・自腹で全国各地へ赴く観戦ツアー
・自宅から20分の横浜スタジアムに5時間＆4万円かかった理由
・高校野球でつながる芸能界の輪
・高校野球を巡るこれからの夢 etc.
そんな高校野球への熱い想いを、スマートフォン向けマガジン『週刊野球太郎』内の「野球芸人」で連載中です。高校野球ファンなら、そちらもぜひチェックを！
＜スマートフォン向けマガジン『週刊野球太郎』アクセス方法＞
・ドコモdメニュー http://sp.yakyutaro.jp/
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いまやスターぞろいとなったプロダクション人力舎の芸人たちを生みだしたライブ『バカ爆走！』の伝説エピソード満載でお送りするプレミアムな人力舎のお笑いフェスティバルです。
【8月20日（火）】第一夜『バカ爆維新』
出演者：おぎやはぎ・ドランクドラゴン・北陽・ゆってぃ・田上よしえ、エレファントジョン、他
【8月21日（水)】第二夜『バカ爆創世記』
出演者：アンジャッシュ・アンタッチャブル柴田・北陽・東京０３・キングオブコメディ、ラバーガール・鬼ヶ島・エレファントジョン、他
【8月22日（木）】第三夜『BIG４伝説』
出演者：ゆってぃ・キングオブコメディ・田上よしえ・ラバーガール・鬼ヶ島、エレファントジョン、他
【8月23日（金）】最終夜『バカ爆豪華版ファイナル 真夏のコジ祭り2013』
Coming soon…
開場：18:30／開演：19:00 料金：前売 4,500／当日 4,800（※全席指定・税込）
主催：ＴＢＳラジオ・人力舎／企画制作 人力舎・ＴＢＳプロネックス
（オグマナオト）
