イタリア戦は、相手の本来の実力を考えれば、ブラジル戦と同じ考え方にはなるのだが、しかし、今回のイタリアは、そこまで強さを発揮できていないので、少なくともグループステージではそうだったので、更には、ホーム&アウェイという条件では同じ、むしろ、気候条件的には日本の方に慣れがあって有利があった、という事も言えるので、イタリアはやはりイタリアであっても、最低でも引き分けという結果は出さなければならなかった、という事。つまり、そういうイタリアの状態であった事を考えれば、3点を奪ったからとか、スコア「2−3」と逆転されてから「3−3」にしたからとか、内容的には上回っていたからとか、それをもって善戦したとは言えない、という事。きちんと結果として、最低でも引き分けで終わらせていなければ、やはり善戦したという事にはならない、という事。

そして、メキシコ戦は、W杯での本番を想定した場合には、やはり勝たなければならない試合だった、という事にはなるが、しかし、ハッキリ言って日本にとっては、欧州系の中堅国よりも南米系の中堅国の方が相性的には悪いし、また、第3戦での条件がイーブンであったり、相手が今回のメキシコのようにしっかりと日本対策をしてきた場合には、やはり現在の日本の実力では、引き分け、という結果でも良い結果だったと言えるのではないか、という事。そして、そういう意味では、現在の日本の実力を考えた場合には、メキシコぐらい実力レベルにある国に対して、勝率5割、勝率6割、スコアで言えば「1−0」や「2−1」というスコアで勝てるようになる事。まずは、ブラジルやイタリアのような国に勝てるようになる事を目指す前に、メキシコのような国に対して互角以上の結果を出せるようになる事。そこを現在は1年後の到達点とするべきなのではないだろうか、という事。

今回のコンフェデレーションズカップでは、まだ日本代表が、運に左右されずに、実力だけで世界の強豪国に勝つ事はできない、という事が明確になったと思う。その差は、一言で述べてしまえば、「個の力の差」、という事なのだが、その「個の力の差」という事を細かく言えば、スタミナのコントロール、1対1での競り合いの強さや駆け引きの巧さ。そして、攻めるべき時には攻め、守るべき時には守る、という試合運びの判断力と実行力。更には、決定力、ドリブルの力、長距離のパスの精度、空中戦、後一歩を寄せられる読みの鋭さやパワー、集中力、個々の選手の戦術理解度。という多くの要素であり、残念ながらそこは組織力では無いし、また、組織力でそこを補えたとしても、それは微々たるものである、という事。

重要な事は、組織力でカバーしようとしても根本的な問題の解決にはならない、という考え方を持つ事で、そもそも組織力というのは何か、という事を考える事で、基本的には数的同数で戦う、という事を考えれば、やはり個々の選手の能力の高い方が圧倒的に有利であるし、また、組織というのは、たった1人の個の悪さや弱さによって崩壊を招く事もある。従って、個の力が足りないから組織力で、という考え方を持つのではなく、個の力の高さで組織力を高める、という考え方を持つ方が健全であり建設的のではないだろうか。そして、「個の力の重要さ」、という事が、もし今回のコンフェデレーションズカップをきっかけとして日本のサッカーのスタンダードな考え方になった場合には、今回の3連敗は良き進歩の糧となった、という事が言えると思う。