食品中の”放射性セシウム”から受ける放射線量、福島は震災発生年の1/5に

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厚生労働省はこのほど、食品から受ける放射線量の調査結果(2012年9〜10月調査分)を発表した。それによると、福島県(中通り)の平均的食生活での食品中の放射性物質から受ける年間放射線量は、1年前の2011年9〜11月の数値と比べて約5分の1に減少したことがわかった。

厚生労働省では、国立医薬品食品衛生研究所に委託し、国内の複数地域において平均的食生活の下で食品中の放射性物質から受ける年間放射線量を推計(マーケットバスケット試料:MB試料)。調査では、国民の食品摂取量の地域別平均の分量を基に、対象地域で市販されている食品(地元産、近隣産)を購入し、そのままの状態または摂取する状態に加工・調理した後、放射性セシウムと放射性カリウムの量を測定。その結果から、1年間に食品中の放射性物質から受ける放射線量を推計した。

今回の調査期間は2012年9月〜10月、調査対象地域は、北海道、岩手県、宮城県、福島県(浜通り、中通り、会津)、栃木県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、大阪府、高知県、長崎県。

15地域における食品中の放射線物質から受ける年間放射線量(MB試料による預託実効線量)は、放射線セシウムで推計0.0009〜0.0057ミリシーベルト/年となり、現行基準値の設定根拠である年間上限線量1ミリシーベルト/年の0.6%以下に収まっていた。一方、元来食品中に含まれる自然由来の放射線カリウムは同0.14〜0.22ミリシーベルトで、福島第一原発事故以前と比べても大きな変化は見られなかったという。

福島県(中通り)では、放射性セシウムから受ける放射線量が推計0.0038ミリシーベルト/年となり、2011年9〜11月の同0.019ミリシーベルト/年と比べると約5分の1に、2012年3月の同0.0066ミリシーベルト/年と比べると約半分に減少していた。他方、放射線カリウムから受ける放射線量については大幅な変化は認められなかった。

2011年9〜11月に行われた調査(宮城県、福島県(中通り)、東京都)では、放射性セシウムから受ける放射線量が推計0.0024〜0.019ミリシーベルト/年、放射性カリウムから受ける放射線量が同0.18〜0.21ミリシーベルト、2012年2〜3月の調査(北海道、岩手県、福島県(浜通り、中通り、会津)、栃木県、茨城県、埼玉県、神奈川県、新潟県、大阪府、高知県)では、放射線セシウムから受ける放射線量が同0.0009〜0.0094ミリシーベルト/年、放射性カリウムから受ける放射線量が同0.16〜0.20ミリシーベルト/年であることから、これらの数値と比較すると放射線量は徐々に低下していることがわかった。