先週末マンチェスター・シティがサウサンプトンに3−1で敗北した。勝敗を分けたのは、両者の試合に賭ける意気込みの違いだ。シティの選手たちには覇気が無くミスが目立ち、チーム一丸となって対戦相手に挑んだサウサンプトンに勝利の女神が微笑んだ。首位を快走するユナイテッドとの勝ち点差が12に広がり、シティのプレミア2連覇という夢はほぼ潰えたと言えるだろう。

何故シティの歯車が狂ってしまったのだろうか? その一因として、独裁的な指揮官と選手たちとの関係に大きな亀裂が生じていることが挙げられる。

試合後のインタビューで、マンチーニ監督は「(今日の試合のような)プレーをする選手は家にいた方がましだ。ピッチにすら立つべきではない。我々は普段いいプレーをするし、それが出来ない時もピッチ上で持てる力全てを注ぎ込んでいる。だが今日はそうしなかった。これが唯一の問題だ。トッププレーヤーなら常に自分の責任を負うべき。(試合に負けるのは)いつだって指揮官のせいではない」と選手たちのモチベーション低下が敗因だとして不満を顕わにした。

名前こそ出さなかったが、致命的ミスを犯したガレス・バリーやジョー・ハートらを指しているのだろう。昨シーズンの主力メンバー達にかつてほどの脅威が感じられないのは事実だが、マンチーニの威圧的なアプローチは、選手たちを鼓舞するどころかむしろ逆効果となっているのではないか。

シティが地元ライバルに大きく水をあけられている原因は、選手たちのメンタリティだけが問題ではない。昨夏の移籍市場で補強ターゲットに挙げていたロビン・ファン・ペルシ、エデン・アザール、ダニエレ・デ・ロッシ、ハビ・マルティネス、ダニエル・アッガーをことごとく逃した点は大きい。

「選手同様チームも改良しなければならない。プレーヤーを大幅に入れ替えなければタイトルは取れないだろう」と昨年7月マンチーニ自ら語っていたが、この予言は見事に当たった。昨季と同様の4−2−3−1のフォーメーションは、敵に完全に分析され、攻撃パターンが予測可能となっている。プレミアのライバル達はもちろんのこと、CLにおいて予選突破出来なかったことが、戦術的バリエーションの欠如を証明しているのだ。タイトル奪回に燃えるチームの結束力が固いユナイテッドとの優勝争いから2位狙いへと目標をシフトチェンジしたシティ。だが、ドレッシングルームの重い雰囲気を想像すれば、見通しは明るくない。