不明を恥じたい。栗山英樹監督がここまでやるとは思わなかった。現場を知らなくとも、野球を学ぶことは可能なのだろう。栗山監督は、投打に明確な方針を持っていたように思える。

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打線でいえば、栗山監督は、梨田昌孝前監督の路線をそのまま継承した。日本ハムは昨年の時点で、捕手と遊撃、DHを除いてレギュラーがほぼ確定していたのだが、それをそのまま起用した。
新監督というものは無理な抜擢をしたり、2プラトンなど新色を出したがるものだが、栗山監督は無用のチームいじりをしなかった。

開幕から不振にあえいだ中田翔をシーズン通して4番左翼で起用し続けたのが、栗山イズムの象徴となった。これは、本人だけでなくチーム全体の信頼を得る上で重要だったと思う。
目立たないが、小谷野を起用し続けたのも興味深い。この選手は一昨年の打点王だが、統一球導入後、成績が急落した。しかし栗山監督は引き続き起用している。安定感のある守備と、勝負強さを評価したのだろうが、それに加えて今年はリーグ最多の40犠打。スラッガーの看板を下ろさせて「つなぐ打者」に変身させた。見事だったと思う。

ただ、栗山監督は選手に恵まれてもいた。糸井、陽、中田の外野陣は、NPB一の布陣である。攻守でこの3人を上回る外野手は数えるほどしかいない。
この3人に衰えを見せぬ稲葉、そして堅守巧打の田中。
こと打線について言えば、良いときにチームを引き継いだと言えよう。

オフェンス面各データのリーグ順位。

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ソフトバンクを抜いて、打線はトップに躍り出た。伸び盛りの選手をそのまま使ったのが功を奏したのだ。
ただし、来季は課題がある。
田中賢介が海外FAで海外に。金子誠が衰える中、二遊間が決まらない。また、ゴールデングラブを受賞した稲葉が、41歳の来季も活躍できるとは限らない。さらに、DHもはっきりしていない。
下手をすると今季をピークに打線が下降線をたどる可能性もある。
栗山監督の真価が問われるのはこれからだと思う。