内田の場合には、もう少し遅攻で、しっかり中盤で組み立てを行い、そこで「ため」があるような中での攻め上がり、という方が活かされてくると思うのですが、今のシャルケはそういう攻撃をするチームではないので、そこがやはり苦しいところだなと思います。前に追い付く頃には前が詰まってしまっていたり、ジョーンズがサイドに張り出すので、内田はその外側ではなく内側を上がって行く、というシーンも多く、そうであるならば、それに対応するような形で内田も少しプレースタイルに幅を持たないと、という感じがしました。

クロスを上げる、というよりも、スルーパスとか、内側に切り返して左足でシュートとか、そういうプレーにも威力を持つ、という幅ですね。また、右足で弾丸ミドルシュート、ニアサイドでも、対角線にファーサイドでも、そういうプレーの幅も欲しいなと思います。シャルケは、基本的には1ボランチで、しかも、SHがワイドに開く傾向にあるので、どちらかと言えばSBが攻撃参加する前のスペースは内側にあって、そこに上がって効果的なプレーができるようになると、攻撃面では1つ良くなるかなと思います。

そして、守備面では、ハイプレスがしっかり効いている時は良いのですが、そのハイプレスを簡単に抜け出されてしまう時も少なくなく、そうなると、スピードで内田のサイドをブチ抜かれてしまう、という事も多くなって、それだけならばまだしも、左SBのフクスはクロスに対する守備対応能力が低く、飛び込んで来る選手に競り負ける、飛び込んで来る選手に前に簡単に入られてしまう、という事が多いので、この試合の2失点目がまさにその形でしたが、シャルケの失点パターンでは多く見られる形ですね。

スピードで内田のところを突破しようとする相手に対して、もう少し内田が粘り強く守備対応できれば、という事は思いますが、スピードはもうどうしようもないところもありますから、もう少し失点を減らしたいと考えるのであれば、2ボランチにしてサイドのカバーを強化するなり、左SBにもう少し守備力のある選手を起用するなり、全体として、もう少しきちんとブロックを作る守備をやるなり、という必要があるかなと思います。内田の右サイドが突破されがちなのは、内田の個による原因と、チーム全体としての守備方法による原因と、その両方があるかなと思います。

という事で、前述もしたように、後半35分、スローインからの展開でしたが、右サイドを突破され、そこからのクロスをニクチに決められて、これでハノーファーが同点に追い付き、スコア「2−2」、そのまま試合は終了、引き分け、という結果になりました。どうにも、今のシャルケのサッカーが、あまり内田には合っていない、という気がするのですが、それでもそういうサッカーに付いて行けるようにするのか、それとも、別の道を探すのか、今の時点では、なかなか難しい判断になりそうですね。