しかし、Jリーグ昇格基準である3000名(1試合平均)には届いていない。今シーズン、ここまでの1試合平均入場者数は2559名。クラブも手をこまねいているわけでなく、『南長野3000人プロジェクト』と銘打って様々な企画を開催するなどの動きは見せているものの、ここまで3000名を超えた試合は13試合中3試合に留まっている。ホーム開催残り3試合で平均3000名が達成されるのは厳しいのが正直な現状だ。

勝っても勝っても上に行くことが出来ないというジレンマに直面する長野。当然ながら1年でも早くスタジアムの改修を望んでいる。一方で空手形を切れない長野市としては2016年完成という立場を貫かざるを得ない。その中でチームが出来ることは、勝って自らの存在をアピールし続け、街の機運を盛り上げること――。勝つことよりも遥かに難しいミッションに、長野パルセイロは挑もうとしている。

■著者プロフィール
多岐太宿
物書きを目指していた2004年末、地元に偶然にもアルウィンと松本山雅FCがあったことから密着を開始。以来、クラブの成長と紆余曲折を偶然にも同時進行で体感する幸運に恵まれる。クラブ公式、県内情報誌、フリーペーパー等に寄稿。クラブの全国区昇格を機に、自身も全国区昇格を目指して悪戦苦闘中。