2012年4月14日 J1 第6節
浦和レッズvsヴィッセル神戸(埼玉スタジアム2○○2)
スコア:浦和 2 − 0 神戸


リーグ戦4連敗。
この敗戦で監督交代の声が大きくなりそうです。


■和田さんで続けていいのか?


神戸は常勝チームではないので、序盤の4連敗くらいで監督交代なんて声は挙がりません。


ナビスコカップ含めても5試合無得点、開幕から無失点試合なし。


ワクワク感やドキドキ感を感じない試合が続いています。
開幕前に序盤での苦戦や連敗を覚悟していた人でも、おもしろい試合が見られそうという期待を持っていたと思います。


和田さんで続けていいのか?
という疑問は当然です。


■守備はらしさが出てきた


2失点はいずれもセットプレーで、コーナーキックとフリーキックです。
前向きに捉えれば、流れの中では失点していません。
徳重のビッグセーブが3回ほどあり、神戸らしい粘り強く守れていました。
イ・グァンソンとイーニョはよくやれています。


■ボールを大事にしすぎる


スカパー(J Sports)中継の解説者は三浦淳寛(旧名:淳宏)でした。
アツが言うには、神戸の悪いところは、
・ボールを持ってから考えている
・ボールの失い方が悪い
とのことでした。
また、改善案はダイレクトパスを増やしていけば、とのこと。


試合後の和田監督のコメントは、


(攻める形として、昨年からやっていること、今年から始めたことの両立の部分で少し混乱が見られるのでは?)
いくつか攻撃の形はやっているが、最後のところ、クロスの精度や中への入り方などがまだまだです。今日も相馬からのクロスにニアに誰も行かず、キーパーに直接いってしまったシーンがありました。やり続けて精度を高めていくしかない。あとはシュートの意識。打てるところで、点が入っていない、勝てていないことで慎重になってしまう点が今日も出たと思います。思い切りが必要だと思うので、委縮せずにやっていきたい。打たなければ入らないし、今日のような天候では、何かが起こるかもしれませんから。当然少し自信を失って弱気になっている部分もありますが、やっていかないと得点にも勝利にもつながらない。それを振り払うのは僕の仕事なので、練習から高めていきたいと思います。


(連敗の状況で攻撃の連動性が出ず苦しんでいると思うが、その要因は?また改善点は?)
今も言いました通り、大胆さの部分、思い切りの良さを出していかないといけない。慎重になりつなごうとしてしまう。もっとシンプルに背後を使うなど、ウラを狙うことで相手のディフェンスラインが下がるので、そういう作業をしながら、ディフェンスラインと中盤の間を空けることでコンビネーションが出来、シュートチャンスが生まれると思います。しんどい作業だと思いますが、ウラをシンプルに狙うことを続けていかないといけないと思います。


相手のプレスラインが低く、ボールを持たせてくれました。
そのこともあって、ボールを大事につなげようとする意識が高くなりました。
ボールを大事にする、言い換えれば、ボールを失うことを恐れるために、ボールを受けてから確実性の高いパスコースを探していました。
アツの言っているボールを持ってから考えているというのは、そういうことです。
和田さんは「大胆さの部分、思い切りの良さを出していかないといけない。慎重になりつなごうとしてしまう」と言っています。
結局、相手のブロックに引っかかったり、クロスが合わなかったりしてボールを失います。


■攻撃の意図


これまでの浦和の失点や決定機の場面で、3バックの左(神戸からは右)の槇野の状況判断の悪さが目立っていました。
槇野だけの問題ではなく、左のウイングバックの梅崎との守備の連動性が悪い傾向があります。


神戸の右サイドの野沢がどれだけサイドでボールを受けられるかがポイントになると思って観ていました。
しかし、野沢がサイドの高い位置でボールを受ける場面はなく、右サイドを使った攻めはあまりありませんでした。
速攻を封じられると、それ以降の攻撃に意図を感じられませんでした。


ウイングバックに守備をさせて体力を消耗させれば、浦和の守備力だけでなく攻撃力も落ちます。
特に梅崎は昨年までは2列目のサイドの選手でFWに入ることもあった選手です。
まだまだウイングバックの運動量の部分で不安があるかもしれません。
ウイングバックの背後やドン引きになってできたウイングバックの前のスペースを狙っていけばボディブローのように効いたはずです。


■崩しの意識


ペナルティエリア内にできたスペースを使う意識が乏しいです。
ペナルティエリア内にできるスペースはサイドや最終ラインの前にできるスペースに比べれば小さいので、スペースと感じていないのかもしれません。


後半66分、
大久保嘉人が前を向いてボールを持ち、相手のディフェンスは背走する形になります。
3バックの外に都倉が走ります。

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都倉がボールを受け、3バックの槇野が対応します。
槇野がいたところにスペースができました。

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このスペースに誰も飛び込みません。
おそらく都倉がシュートしてキーパーが弾いたボールを逆サイドで狙っているのだと思います。
だからといって3人も逆サイドにいりません。
中で待っているだけではエリア内でシュートを撃つチャンスはそうそう巡ってこないです。


■大久保嘉人


大久保嘉人は、この試合でも動きの良さが際だって目立っていました。
そして、いつものようにイラつきながらプレーしていました。


前半27分、ハンドのファールを受け、それについて声を荒げて「異議」でのイエローカードをもらいます。
リプレイではハンドではなく誤審なのですが、無駄なカードです。
そして、後半にはフリーキックのボールを取りに行く際、主審とぶつかり、あやうく2枚目のカードを受けそうになります。
主審が目に入っていなかったのかもしれません。


最後の整列のとき、審判がバックスタンドに向いている隙に、審判の前を通り過ぎて握手をしませんでした。
あからさまな握手拒否ではないですが、審判は悪い印象を持つでしょう。
そうすると、主審にぶつかったのも故意でやったのかと疑いたくなりますし、これからも審判から厳しい目で見られます。
得することなんてひとつもありません。


■まだまだ時間はかかる


監督の話しです。
浦和は今季から広島で監督をしていたペトロビッチ監督を迎え、3バックになり戦術が大きく変わりました。
良いときの広島を完成形とするならば、攻撃につなげる部分ところとかまだまだ課題はあるように見えますが、とりあえず勝てるチームになっています。
短い期間で特異なスタイルを浸透させているのは、ペトロヴィッチ監督の指導力と経験によるものでしょう。


一方、神戸はと言うと。
試合後の大久保嘉人のコメント。


どうしたらいいか考えてやっていきたい。絶対良くなっていくと思うので、続けてやっていきたい。練習でもそういう形が出来ていないことが問題なので、そこから変えていきたい。


攻撃面はまだまだ時間はかかりそうです。


■監督は効果があるのか?


最近、川崎フロンターレの相馬直樹監督が解任されたことを受けて、あるブログで監督解任の効果について書かれていました。


サッカーにおいて監督解任は効果があるのか – pal-9999の日記


まぁ、僕がいいたいのは、こういう事なんですけど、サッカーにおいて、監督の解任ってのは、短期的には効果があるようです。解任後、新監督がやってきて、10試合くらいは効果がある。研究結果でもそう出てるし、実際、僕の感覚的にも、それは合ってます。監督交代後の10試合くらいは、上手く行く。研究によると、監督交代後、10試合で平均して3ポイントほど成績が上向くみたいですが。
ただ、その効果は、10試合前後で消えちゃうんですね。しかも、その後は、急降下が厳しいケースが多いと。最近のインテルでは、ラニエリ監督なんてモロにそれですね。一時、持ち直してましたが、その後、元通りになって成績が急降下。で、解任。チェルシーも監督交代後、成績が良くなってますが、あの効果は10試合程度で消えるでしょう。そして、その後は、元通りのチェルシーが帰ってきます。日本だと、やっぱジェフですかね・・・監督交代後、最初は上手くいくけど、その後グダグダ・・・という。
ただ、言いたいのは、それは一時的なモンだって事です。そういった効果はすぐ消えて、元通りになっちゃいます。ほとんどのケースで、それが一般的なんです。


監督を替える効果というのは、選手の危機意識を高め、チーム一丸でどん底からはい上がろうとする力を促すことのようです。
しかし、それは一時的なものでしかないケースが多いようです。


■それでも監督を替えた方がいいとき


それでも、監督を交代した方がいい、というケースはあると考えます。
それは監督の求心力や威信がなくなった場合です。


■和田さんを解任した方が良いのか?


2010年9月に和田さんが監督に就任してから、和田さんが監督だったから勝った試合はいくつもあります。
節目でやり方を変える大きな決断をしてきたこともありますが、「和田さんのために」とか「和田さんを男にしよう」という選手の想いが働いた結果です。
主力選手にそういう想いがないのであれば、監督を解任した方がよいです。
まだ和田さんを信用し、和田さんの元で強くなる想いを持ってまとまれるならば、解任してはダメです。

時間はかかるだうけど、時間をかければ必ず連携は良くなって勝てるようになります。


今の和田さんの求心力はどうなのか?


外からは分かりません。
クラブの強化部はそのあたりを見極めて判断してもらいたいと思うだけです。
和田さんはクラブにとって大事な人だからとか、替わりがいないからとか、そんなのは関係ないです。



(終わり)