米グーグル日本法人の経団連入会が、今月にも承認される見通しだ。

 経団連は鉄鋼や電機に代表される重厚長大産業が多数派を占め、インターネット関連の新興企業などは少数派に留まっている。古い「財界総本山」のイメージを払拭するためにも、新興企業の入会申請は大歓迎だという。しかし、「それだけではない」と、財界ウオッチャーは話す。
 「原発再稼動を巡って、経団連の米倉弘昌会長と、理事を務めるソフトバンク孫正義社長が、11月15日の理事会で激突した。従来の経団連は議事進行にしてもシャンシャンでしたが、この時は孫さんが『原発再稼動よりも優先すべき課題がある』などと米倉さんに猛然と噛み付いたんです。それを無視して進めようとする米倉さんとの間で激しい応酬があり、最後は米倉さんが数の論理で押し切った。経団連の理事会がここまで熱くなったのは前代未聞のことで、米倉会長はグーグルの登場に対し『強力な援軍到来』とばかり、含み笑いを噛み殺すのに懸命でしょう」

 経団連は、原発推進に反対した楽天の三木谷浩史社長が脱会するなど必ずしも一枚岩ではない。しかし財界主流派からは、孫、三木谷両氏のスタンスの違いを指摘する声が聞かれる。
 三木谷氏の場合は電力業界を擁護する経団連の古い体質に激怒しての行動だが、孫氏の場合は再生可能エネルギーの切り札とされるメガソーラー計画の旗振り役を務める立場。つまり、ビジネスを全国展開して軌道に乗せるには原発の再稼動などもってのほか。そのための「孫さん一流のスタンドプレイ」と揶揄する向きさえいた。

 経団連にとってグーグルの入会承認は、孫社長を封じ込める“刺客作戦”なのかもしれない。