小泉純一郎元総理の次男で、現在は自民党の青年局長を務めている小泉進次郎衆議院議員が、谷垣禎一自民党総裁に反旗をひるがえして、波紋を呼んでいる。

 キッカケとなったのは、現在、野田佳彦総理が、参加の意思を表明しているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対し、民主党のTPP案に自民党が反対の姿勢を示していることを公然と批判。「民主党案がダメで、自民党が与党なら批准するという論理は通らない」と執行部まで槍玉にあげたのである。

 政治部記者が明かす。

「もともと自民党は、農業の自由化に反対する農業票が、大きな支持母体の一つとなっている。そこで、態度を『民主党案のTPPには反対』というグレーゾーンの態度に終始。それに対して、猛然と突っ込んだのが、小泉だった。何しろ、彼は父親譲りの『新自由主義者』の信奉者。当然、貿易の自由化を促進するTPPに賛成を表明するのは、当然のこと。そこで、自民党のTPPへの態度を表明する衆院議院運営委員会の委員も小泉を外して、別の議員に差し替えるなど、対応に苦慮しています」

 蚊帳の外に置かれた小泉氏はそれでも黙っていなかった。11月20日の講演では、さらに語気を強め、自民党を批判。

「どっちつかずの状況は(賛成派と反対派)両方からガッカリされている。自民党は野党の時も与党の時も言うことを変えず、一貫した方向性を示さなければならない」

 まさに、このままでは自民党の“新たな火種”になりそうな雲行きだという。

「実は、TPPを巡っては自民党内はおろか、与党の民主党内でも賛成派と慎重派の意見対立が深刻化している。下手をすれば、TPPを軸にして与野党を巻き込んだ政界再編になりかねない。日米同盟は安全保障のみならず、外交や経済にまで範囲は及ぶ。その象徴であった小泉元総理の後継者が進次郎ですから、そのままTPP推進の中心に祭り上げられる可能性すらあります。進次郎は地元の講演会に父親を壇上に担ぎ出して、自民党批判を繰り広げるなど、やる気マンマンです」(永田町関係者)

 その背後には、いまだくすぶる「小泉待望論」があるというのだ。

 政界関係者が言う。

「結局、ここ10年間の政権がコロコロ変わることの原因は、揺るがないリーダーシップを持った人物がいなかったことが大きい。しかも日米関係が円滑で、経済的にも低成長ながら、安定していたことからノスタルジックな意味合いで、出てくるのが『小泉待望論』です。ただ、ご本人は引退しているし、進次郎はルックスもいいことや主義主張が近いことから、注目が集まっている。一部では、第三極を目指して小泉政権時代のブレーンが再集結し、『みんなの党』や橋下徹が率いる『大阪維新の会』が相乗りするという話もあり、予断は許しませんね」

 政界再編はあるのか。