23日午後、北朝鮮のテレビから“例の”声が流れてきた。「韓国がわが国の領海に0.001ミリメートルでも侵入すれば、わが国はわずかばかりの躊躇(ちゅうちょ)もなく軍事対応し、打撃を与えるだろう」――。日本でも北朝鮮絡みの映像に登場することが多い、アナウンサーのリ・チュニさんだ。中国新聞社が同アナを紹介した。リさんは“ドス”のきいた声で、「敵の肝をつぶす」ことができるという。

 リさんは1943年7月8日生まれで67歳。平壌(ピョンヤン)劇映画大学を卒業した後、女優を経てアナウンサーになった。韓国や米国、日本を非難する時には激怒の表情と声。次のニュースが金正日(キム・ジョンイル)総書記などを称える内容であれば、瞬時に切り替え、はばかることなくにこやかな表情を示す。

 多彩な表現力は、演劇を通じてつちかった面が大きいらしい。ドスをきかせた声は、「敵の肝をつぶす」と評価されている。北朝鮮から脱出したテレビ関係者によると、同国では「彼女の怒りの声は、画面全体を振動させる」と言われている。

 アナウンサーとして最高の「人民アナウンサー」に認定され、「努力英雄」の称号も得た。北朝鮮でテレビ・キャスターは「全国の潮流を形成する」として特別に重視されており、国家は住宅や家電、高級乗用車などを特別配給する。リさんも国家のプレゼントを享受し、生活は快適だ。平壌市内の「現代的住宅」で、夫と息子夫婦1組と孫娘、もうひとりの息子と同居している。

 リさんは、金正日総書記の「お気に入り」だ。総書記絡みのニュースは、必ず担当する。「人民アナウンサー」に定年はなく、身体の条件が許すかぎり、仕事を続けることができる。また、平壌市内の高級な娯楽施設は無料で利用できる。施設には美容院、サウナ、高級レストランが完備している。

 金正日総書記は「どんなことがあっても、アナウンサーを最大限に優遇せよ」と指示したという。(編集担当:如月隼人)



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