■主審:パベル・ゲル(POL)
採点:5

こんなに面白い日本代表の試合を見たのはジーコ監督時のドイツW杯前のアウェイでの対ドイツ戦以来のように思える。


試合レポート→・http://news.livedoor.com/article/detail/5062720/

それは何も日本代表が勝ったからだけではない。相手も素晴らしく、なにより試合自体が素晴らしかった。ということは、審判も素晴らしかったということだ。だけで、終わらせると目の肥えた読者の皆様は許してくれなそうだ(苦笑)。ということで、レフェリングを振り返ります。今日のレフェリーは審判員交流プログラムで今月24日までJで笛を吹くパベル主審。

55秒、ひっかけたアルゼンチンファウル。1分、プレーできる範囲外でチャージした森本に注意をし、3分にも腕を使った森本のファウルをとったように、ファウルであればしっかりととっていく。とはいえ、7分の岡崎の激しいチャージはボールにプレーできており、かつ不用意でないため流したように、タフな基準でもある。

笛が少ない立ち上がりとなるが、それはアルゼンチン選手が簡単に倒れないからだ。これがW杯後に、西村雄一氏が各媒体に「JよりW杯では流しめの基準だったのではないですか?」と質問され、「そうではなく、ファウルでもプレーを続けるからアドバンテージを採用できたり、多少のコンタクトでは影響されないためにファウルにならなかったのです。」と答えていたプレーだ。スタジアムで見ていた方々のなかに、基準をフォーカスしていた方がいれば、おそらくJとの違いは感じず、逆に選手の違いを感じたのではないだろうか。

それは日本選手にもいえる。

71分の日本のカウンター時。ゴールにフリーランニングする日本選手をアルゼンチンが手でつかまえようとするが、日本選手は倒れないし、アピールもせずゴールを目指す。

88分にはドリブルする前田がファウル覚悟(反スポーツ的行為となった)のディマリアのコンタクトを受けるがシュートを打つまで倒れなかったし、シュート後にアピールすることもなかった。

ゆえに、笛が鳴らなかっただけで、基準に違いがあるわけではない。

とはいえ、パベル主審の技術も高い。23分のロールバックは絶妙だったし、ジェスチャーもわかりやすかった。48分の長友との競り合いで熱くなったブルディッソとのコミュニケーションも巧い。

29分、斜め後方からスライディングタックルしたダレッサンドロに反スポーツ的行為で警告。80分、長友に蟹バサミのようなタックルをしたデミチェリスに反スポーツ的行為で警告。90+1分にはロールバックしてテベスへの長谷部のファウル(反スポーツ的行為で警告)をとる。カードの基準もよく、ラフなプレーをさせなかった。

アディショナルタイムの短さを指摘する方もいるかもしれないが、親善試合というのを考えてだろう。【空費された時間をどう使うのは主審の裁量】で、このアディショナルタイムにアルゼンチンはストレスをあらわさなかった。

岡崎のゴールはオフサイドか微妙なところだったが、ギリギリの所ではないか。アルゼンチンがアピールしたハンドに関しても、手に当たればハンドになるというわけではない。

こうやってレフェリングを振り返ると、主審のレフェリングあっての最高の試合だったように思える。

 パベル主審はこれからJリーグで笛を吹く。今日のような試合が見られないのであれば、基準どうこうではなく、それは選手の差ということだ。そういった意味でもパベル主審もザッケローニ監督同様に良いお披露目となった。

〜採点基準〜

5:彼なしに試合はありえなかった
4:普通に試合を終わらせた
3:ミスにも見えるシーンがあったが、試合に影響はなかった
2:試合に影響はなかったかもしれないが、カード・得点に対する微妙なシーンがあった
1:ミスから試合の流れを変えてしまった
0:試合を壊してしまった

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