ポルトガル代表戦でゴールに結びつくプレーを演出したF・ジョレンテの評価が急上昇している。ビジャの今大会4ゴール目となる決勝点は、F・トーレスに代わって途中出場したF・ジョレンテが相手DFを背負いポストプレーからイニエスタ、チャビと繋ぎビジャがフィニッシュ。ベスト8進出の立役者となった。

 完全に引いた相手に対してどう崩すのか。永遠のテーマとも言えるスペイン代表が苦手とするパターンで試合は進んだ。ボール支配を許し引いて守り、カウンターというはっきりした戦術で試合に臨んだポルトガル代表のケイロス監督。前半はこの堅実なポルトガル代表の戦い方にスペイン代表も苦しんだ。序盤の立て続けのゴールチャンス以外は中盤でのボールキープが精一杯。反対にボールを奪われるとポルトガル代表の逆襲で混乱する場面も目立った。

 この流れを変えたのがF・ジョレンテだった。F・トーレスのようなダイナミックなサイドへの動き出しよりも前線で張って、ボールをしっかりと落とせるF・ジョレンテ。ポルトガル代表センターバックは、この長身FWのポストプレーを警戒するあまりラインを高く保てなくなる。攻撃に深みができたスペイン代表は、F・ジョレンテにボールを預けて、落とされたボールをサイドに振るビジャへというパターンを作りだし、ボールの回りは後半、格段にスムーズになった。

 怪我でコンディション調整が後れていたF・トーレスは、ボールをもらってもサイドから突破もできなければ、ミスで簡単にボールを失ってしまう。デル・ボスケ監督はF・トーレスに信頼を寄せてはいるが、F・ジョレンテの活躍でスペイン代表のFWに新たなオプションが加わったことは確かだ。次も守備重視のパラグアイ代表との対戦だけに、トップで張って基点となれるF・ジョレンテと、その周囲を動くビジャのコンビは絶好とも言える。デル・ボスケ監督を良い意味で悩ませる活躍をしたF・ジョレンテの大活躍でスペイン代表がまた優勝へ一歩前進した。

(スペイン通信)