W杯南ア大会で1勝もできずに一次リーグ敗退を喫したフランスの“戦後処理”がはじまろうとしている。26日付のレキップ紙によると、次期監督のローラン・ブラン氏(前ボルドー監督)が契約にサインした。7月2日に予定されるフランスサッカー連盟(FFF)の理事会で、正式に就任が承認される見通しだ。

 また25日には、チームの“幹部”とされる主将のエヴラ、前主将のアンリ、アビダルが相次いでテレビに出演し、今回の“空中分解”劇について釈明を行なった。ただし、「選手たちは最後まで結束していた」「メディアにあることないこと報道されたことで精神的な重圧を受けた」「試合でいい結果を出せなかったことがあらゆる問題の発端」などと、“表向き”の発言や国民への謝罪に終始し、内紛の真相に踏み込む内容からはほど遠かった。

 いずれにせよ、追放されたアネルカ、孤立が指摘されたギャラスを含め、ベテラン勢は新体制の構想から一斉に外れるとの見方が大勢を占める。レキップ紙が予想した新メンバーでは、今回の23人のうちほぼ半数が入れ替わることになる。

 GKは、今回は力を十分に発揮しきれなかったが、まだ若いロリスが今後も守護神の筆頭候補。第2キーパーもマンダンダで問題ない。もうひとつの枠は、ケガで途中帰国したカラソと、代わりに登録外で招集されたモナコのリュフィエが争う。

 DFは、アーセナルの両サイドバック、サニャとクリシが残留。これにボルドーの両翼マチュー・シャルメとブノワ・トレムリナスが加わる可能性がある。センターバックの人選は、今後の“生命線”となり得る重要な課題だが、ボルドーのミカエル・シアニ、ロリアンのローラン・コシエルニの抜擢が予想される。今回最終選考で落とされたアディル・ラミ(リール)も有力候補。フィリップ・メクセス(ASローマ)の代表復帰も考えられ、MFのトゥラランをCBで起用するオプションが加わる。

 トゥラランは今後のフランス代表の支柱となるべき存在だが、ブラン監督がワンボランチを採用するのはほぼ確実で、そうなると“余剰人員”に追いやられるおそれもある。その守備的MFは、ブラン監督の信頼が厚いアルー・ディアラ(ボルドー)と、今大会直前の病気で欠場したラサナ・ディアラ(レアル・マドリー)でほぼ決まり。攻撃的MFには、今回のグルキュフ(ボルドー)とディアビ(アーセナル)が残り、もうひとつの枠にナスリ(アーセナル)が浮上する。

 FWは、今大会で唯一好調だったマルダ(チェルシー)に加えて、リベリ(バイエルン)とジニャックは残留。これにベンゼマ(レアル・マドリー)、ベン・アルファ(マルセイユ)、メネズ(ASローマ)、新鋭のケヴィン・ガメロ(ロリアン)あたりが加わってきそうだ。

 “焦土”からの再スタートは容易でない、とも指摘されるが、ボルドーのライバルとしてブラン監督と2シーズン戦ったリヨンのピュエル監督は、「ゼロからの再出発はむしろローラン・ブランにとって好都合。自分のやりたいようにチームを再建でき、彼ほどの人物ならそれを成し遂げられるだろう」と楽観的にとらえている。ブラン監督と新チームのデビュー戦は8月11日のノルウェー戦(親善試合)。その後間もなく9月3日には、ユーロ2012予選の第一戦、ベラルーシ戦が控えている。