スペイン代表が南アW杯の優勝候補となるきっかけとなったのが、ユーロ2008年の優勝だ。アラゴネス監督が率いたスペイン代表は、決勝戦でドイツに競り勝ち優勝をもぎ取った。現在のスペイン代表の形を作り上げたのがアラゴネス監督だとして、デル・ボスケ監督は基本的なシステムや選手の選考でも大きな変化を与えないと就任当時話していた。

 W杯本大会までは難なく親善試合で勝利を重ねて行ったスペイン代表だが、初戦のスイス代表戦で敗れたことで、優勝候補どころか1次リーグ突破が最大の目標となってしまった。ホンジュラス代表に勝ちはしたが、内容が伴わなかったことについて、「正確性に欠けたプレーが目立った」とアラゴネス監督はアルジャジーラの番組内で試合を分析している。

 さらにアラゴネス監督は、「このプレーではスペイン代表は今大会良い結果を残せないだろう」と説明し、「選手のことはチーム内に今いないので分かり難いが、自分が監督だったらしないということも多々あった」とホンジュラス代表戦を振り返っている。

 スイス代表戦敗戦後には、デル・ボスケ監督の選手起用に対しても批判的なコメントを残していたアラゴネス監督。スペインメディアでこの批判が大きく取り上げられてしまったことで、ホンジュラス代表戦後にはマイクを向けられるもノーコメントだった。代表の前監督と現監督の考えが一致するという方が珍しいが、そのくらいに一貫性を持ったプレースタイルをここまで維持してきたスペイン代表。ここに来て多少の亀裂が両者に生じている。

(スペイン通信)