マルセイユが5日、リーグ・アン第36節でレンヌをホームに迎え3―1で勝利をおさめた。これで勝ち点を75に伸ばして2位以下に8ポイント差をつけ、2試合を残して優勝を決めた。今シーズンは、リーグ杯と合わせて2冠達成となった。

 マルセイユのリーグ制覇は1992年以来(1993年は八百長事件でタイトル剥奪)18年ぶり9度目。前回優勝のときの主将だったディディエ・デシャンが監督1年目でクラブに久々の栄冠をもたらした。

 シーズン開幕前に積極的な補強を行なったマルセイユだが、もっとも期待に応えた新戦力がこのデシャン監督だったといっても過言ではない。カナルプリュス局のサッカー討論番組「スペシャリスト」で、多くの専門家がマルセイユの強さは、選手層の厚さとそれをうまくローテーションで起用した采配にあると指摘した。

 とはいえ、チームの歯車が噛み合い出すにはやや時間を要した。前半戦は9勝4敗5引き分け(1試合は未消化)。2位で折り返したとはいえ、ボルドーには大きく差をつけられた。それが年明けからは快進撃に変わる。第22節(1月30日)でモンペリエに敗れた以外は負けなしだった。

 そのポイントとして2人の選手を挙げることができる。攻撃的MFのマチュー・バルブエナとセンターバックのステファン・エムビアだ。

 バルブエナは当初、デシャン監督の構想では控えだった。それが後半戦に入り、故障者の代わりで起用されはじめると、チャンスをモノにして監督の信頼を得るに至った。レキップ紙によると、バルブエナが欠場したときのチームの成績は6試合で2勝2敗2引き分け。途中出場のときは12試合で6勝3敗3引き分け。それがバルブエナ先発の試合となると、18試合で14勝4引き分けと無敗で一気に勝率が上がったことがわかる。

 もうひとりのエムビアは本来は守備的MF。しかしエインセの故障をきっかけにセンターバックで起用されると、たちまち効果を発揮し、デシャン監督は嫌がる本人を説き伏せて使いつづけた。今シーズン、センターバックのコンビはほぼ3通りあったが、ボルドーから加入して不動のポジションを得たディアワラのパートナー別に見ると、イウトンとのコンビで54分ごとに1失点、エインセとのコンビで93分ごとに1失点、それがエムビアとのコンビとなると、132分ごとに1失点と、格段に守備力がアップしたのがわかる。

 こちらも就任1年目となったダシエ会長は、中継局オランジュ・スポールのインタビューで「タイトルはディディエのおかげ。彼はチームを作り上げ、向上させることを心得ていた。偉大なプロフェッショナルだ」とデシャン監督の手腕を称えた。